東京フィルメックス最優秀作品賞は「気球」、ペマツェテン監督3度目の戴冠
2019年11月30日 23:14

[映画.com ニュース] 第20回東京フィルメックスの授賞式が11月30日、有楽町朝日ホールで行われ、コンペティション部門の最優秀作品賞はペマツェテン監督の中国映画「気球」に輝いた。
ペマツェテン監督は2011年「オールド・ドッグ」、15年「タルロ」に続き実に3度目の戴冠。18年「轢き殺された羊」では審査員特別賞を受賞しており、審査委員長の映画批評家トニー・レインズ氏は「新しい人に(賞を贈る)という意見もあったが、『気球』はクオリティに説得力があり、全員が一致していた」と説明した。
来日がかなわなかったペマツェテン監督に代わり、主演俳優のジンパが登壇し「初めての来日でこのような評価を受けて、大変縁起が良い」と笑顔。「出品の度に受賞できるのは、縁としか言いようがない。作品を日本に連れて来てくれて、熱い観客に届けてくれてありがとう」と自身のスマホに送られてきたメッセージを読み上げた。
審査員特別賞は、中国などの「春江水暖」に決定。デビュー作での受賞となったグー・シャオガン監督は既に離日しており、「サポートしてくれたすべての人に感謝したい。皆がいなければ、この映画は存在しなかった。一緒に歩んでくれてありがとう。激励し認めてくれた皆さんにもお礼が言いたい」とビデオメッセージを寄せた。
また、スペシャル・メンションにニアン・カビッチ監督の「昨夜、あなたが微笑んでいた」、広瀬奈々子監督の「つつんで、ひらいて」のドキュメンタリー2本が選ばれた。カビッチ監督は、学生審査員賞とのダブル受賞に「2016年のタレンツ・トーキョー(人材育成プロジェクト)に呼んでもらい、作品を持って戻ってこられて光栄」と喜びをかみしめた。
広瀬監督は、昨年のデビュー作「夜明け」に続く選出。劇映画とドキュメンタリーの両方で評価を受けたが、今後については「区別していることはないが、メインのフィールドはフィクションにしたい。ドキュメンタリーは忍耐力が必要だし、それだけの人に出会えるチャンスがあるかどうかも分からないので」と話した。
授賞式では、レインズ氏が審査員特別賞の発表の際、受賞作の書かれた紙をひらひらさせ、「これがシュレッダーにかけられないか心配で、パニックに陥りそうになった」と、オープニングで“予告”していた安倍晋三首相をネタにしたジョークで沸かせる一幕も。また、脚本を公募し場合によっては製作まで行う「ニュー・ディレクター・アワード」を特別協賛のシマフィルムと共同で来年新設することも発表された。
第20回東京フィルメックスは、12月1日まで開催。
受賞結果は以下の通り。
審査員特別賞:「春江水暖」グー・シャオガン監督
スペシャル・メンション:「昨夜、あなたが微笑んでいた」ニアン・カビッチ監督、「つつんで、ひらいて」広瀬奈々子監督
観客賞:「静かな雨」中川龍太郎監督
学生審査員賞:「昨夜、あなたが微笑んでいた」
タレンツ・トーキョー・アワード2019:「About a Boy」シヌン・ウィナヒョコ
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