「ドクター・スリープ」スティーブン・キングはどう見た? 監督が明かす
2019年10月7日 12:00

[映画.com ニュース] 9月21日は、スティーブン・キングの誕生日だった。今年で72歳を迎えた彼の人気は、最近、ますます高まっている。9月6日に、アメリカでは「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」の第2部「IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。」が公開され、またもや大ヒットしたし(日本公開は11月1日)、この後にはさらに「ドクター・スリープ」が控えるのだ。(取材・文/猿渡由紀)
キングが書いた同名の小説を映像化する今作は、「シャイニング」に出てきた子ども、ダニーのその後を描くもの。今作の初めで、ダニーは父ジャックがそうだったように、アルコール依存症に陥っている。
「スティーブンが『シャイニング』を書いたのは、彼自身が依存症に陥っていた時。そこから回復した後、彼は『ドクター・スリープ』を書いたんだ。ダニーは、父にはできなかった形で依存症を振り返り、自己検証をする。これは、自らも同じことを乗り越えた作家が書いた、成熟したキャラクターなのさ」と、マイク・フラナガン監督が語る。
その複雑な役を任されたのは、ユアン・マグレガーだ。
「どん底から始まるキャラクターは、演じる側にとって、すごく醍醐味があるんだよ。映画は子どものダニーで始まるが、すぐに大人の彼、つまり僕に移る。そのダニーは依存症でボロボロの状態。だが、人生の最悪を経験した彼は、回復し、罪の償いをしようとするんだ。自分の持つ特殊な力を、他人を救うために使おうとする。そこへ、アブラが出現するのさ」。

その少女アブラについて、フラナガン監督は「ダニーと同じように、特別な能力を持つ子ども。そして、かつての彼と同じように、無邪気で無垢」と説明。今作には、さらに、レベッカ・ファーガソン演じるミステリアスな女性ローズが登場する。
「この3つの話が、統一されたビジュアルのスタイルのもとに語られていき、ある時点でひとつにまとまっていく。そういう映画を、僕はこれまでに手がけたことがない。そこもまた、作り手としては面白いところだったね」と、フラナガン監督。プロデューサーのトレバー・メイシーも、「これはスタンリー・キューブリックの『シャイニング』を見ていない人でも楽しめる、独立した映画だ」と語るが、一方で「シャイニング」のファンを喜ばせる要素もたっぷりとちりばめてある。予告編で、マグレガーがドアからのぞくシーンを見て、思わず大興奮してしまったファンは、きっと少なくないことだろう。

そのさじ加減は、もちろんとても重要。マグレガーも、「あのドアのシーンは、ごく普通のシーンとして演じた。子どものダニーは、ジャック・ニコルソン演じる父があそこでああやったのを見ていないわけだし」と言う。もっと困難だったのは、キングとキューブリック、両方を満足させる映画にすることだった。キングはキューブリックによる「シャイニング」映画化の経験以後、自分の作品が映像化される時には、脚本、キャスティングなどすべて自分の承認を条件にしてきている。今作も当然、それらの条件を満たしながら作られたが、結果は彼の期待を上回るものとなったようだ。「その話をするのは大好きだよ」と、フラナガン監督は嬉しそうな顔を見せつつ、キングに映画を見せた時のことを振り返ってくれた。
「僕らは映画をスティーブンの住むメイン州バンゴーまで持っていき、彼の隣で一緒に見たんだ。上映中、彼はずっと笑顔で、時には声を出して笑い、2回くらいは『いいぞ!』と叫んでくれたりしたよ。エンドロールが始まった時、彼は僕の肩に手を置いて、『良い仕事をしてくれたね』と言ってくれた。それを聞いて僕は気絶してしまったんだ(笑)。トレバーが顔の前で手をパタパタさせて起こしてくれたよ(笑)。キューブリックの遺族も、映画を見た後、お褒めのお手紙をくれた。彼ら両方を満足させることは、今回最大のプレッシャー。果たしてそれは可能なのだろうかと疑問に持ったこともある。今は宙に体が浮いた気分さ。これから観客や批評家に見てもらうことになるが、僕にしてみたら、これはもう成功なんだよ」(フラナガン監督)。
そう聞くと、ますます期待が高まる。
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