樹木希林さん、初企画映画「エリカ38」への覚悟!「不動産売っても構わない」
2019年4月20日 21:00

[映画.com ニュース] 昨年9月に亡くなった女優の樹木希林さんが初めて企画した「エリカ38」が4月20日、「島ぜんぶでおーきな祭 第11回沖縄国際映画祭」(吉本興業主催)の特別招待作品として、北谷町のミハマ7プレックスで上映され、主演の浅田美代子、共演する「南海キャンディーズ」の山崎静代、日比遊一監督、プロデューサーの奥山和由氏が舞台挨拶に立った。
実在の事件をモチーフに、“38歳”と偽り男たちをだまし、最後は異国の地で逮捕された60歳過ぎの渡部聡子=自称エリカの姿を描いた。浅田にとっては、45年ぶりの主演映画。樹木さんは「浅田の代表作になってほしい」という思いから本作を企画し、自らもエリカの母役で出演している。
樹木さんとは長年、公私にわたり親交があった浅田は「一緒に(事件について)ワイドショーを見ていて『美代ちゃん、こういうのやればいいのよ』って。その後、脚本も監督も、プロデューサーも決めてくださった。驚きましたが、水面下で動いてくださり、感動しました」と改めて感謝の意。国際映画祭への出品も視野に入れていたそうで「一緒に行こうねと話していたが、それはかなわなかった。でも、今日もきっとこの場にいてくれている」としみじみ話していた。
本作の撮影現場で、誕生日を迎えたといい「ちょうどその日、現場に希林さんもいらっしゃって。スタッフさんがケーキを用意してくれたら、希林さんが(浅田のデビュー曲)『赤い風船』を歌ってくださった。ジーンときて、涙が出ちゃいましたね」と振り返った。
お手伝い役で出演する山崎は「ずっとお会いしたかったし、現場では一瞬たりとも見逃したくなかった」と樹木さんへの思いを吐露。浅田から「希林さんが、しずちゃんいいよと言っていた」と告げられると、「そんな、そんな。信じられない」と恐縮しきりだった。
樹木さんの“指名”でプロデュースを買って出た奥山氏は、吉本興業の大崎洋社長との会食を振り返り「大女優がお金の話なんてしなくていいのに、希林さんが手を合わせながら『大きな迷惑はかけないから、ちょっとだけ出してください』って(笑)。大崎さんも『これはやらないと、バチが当たるでしょうね』と話を進めてくれた」と舞台裏を明かした。その上で「体調は最悪でしたが、脚本に細かい意見を、ラッシュには手厳しい声をいただいた。希林さんの決心が貫かれた作品」だとアピールした。
日比監督も「すでにお体も悪かったのに、打ち合わせで1度会うと5~6時間と付き合ってくださり、必ず僕が好きなワインを頼んでくれた」と語り、樹木さんの「私、不動産が趣味でね。(映画のために)1件くらい売っても構わない」という言葉を紹介。「そういう覚悟をお持ちでした」と故人をしのんだ。
「島ぜんぶでおーきな祭 第11回沖縄国際映画祭」は21日まで開催。「エリカ38」は6月7日から公開される。
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