父・千葉真一、兄・新田真剣佑への尊敬の念――眞栄田郷敦、銀幕デビューの地・沖縄で“芸道”を突き進む
2019年3月26日 12:01
[映画.com ニュース] 父は千葉真一、兄は新田真剣佑――日本映画界期待の新星・眞栄田郷敦は2018年11月、銀幕デビューの地・沖縄にいた。演技初挑戦の場に選んだのは、人気バンド「MONGOL800」による楽曲を基にした映画「小さな恋のうた」。映画.comは、佐野勇斗、森永悠希、山田杏奈、鈴木仁ら同世代の共演者ともに“青春”ともいえる日々を送っていた眞栄田に独占インタビューを敢行。言葉の端々から伝わるのは、その誠実な人柄、“スタートを切った者”だからこそ持ち得る比類なき向上心だった。(取材・文/編集部、写真/Nicolas Willer)
18年10月6日、TGC北九州の場で華々しく芸能界入りを果たした眞栄田。Instagram開設が大きな話題を呼んでいたなかでの初の大舞台。「(情報としては)写真しか出していない段階だったのに、名前をたくさん呼んでいただいたり、SNSにも応援メッセージをいただいたり――本当にありがたいという気持ちでした。その期待に応えるためにも頑張っていきたいです」と改めて気を引き締める。
「orange オレンジ」「羊と鋼の森」「雪の華」の橋本光二郎監督がメガホンをとった「小さな恋のうた」は、沖縄の小さな町に暮らす高校生たちが、バンド活動を通じ、仲間、親友、家族、フェンスを隔てた米軍基地に暮らす同世代の少女といった大切な人たちに“想い”を届けようとするさまを描く。長期間の楽器練習を経て、眞栄田が挑んだ役どころは、物語に大きな変化をもたらす譜久村慎司だ。全編沖縄ロケで進行していた撮影の最中、眞栄田は成長には欠かせない“ある感情”を抱いていたようだ。
眞栄田「(佐野らの熱演を見て)毎日刺激を受けているんですが、一方で“本当に悔しい”んです。もっともっと近づき、いずれは超えていかなければならないと思っています。最近、山田杏奈さんの芝居を見て、色んなことを感じて、本当に落ち込みました。自分はこのままじゃ駄目だなと。普段はとても仲良くさせていただいていて、大好きなメンバーなんですが、撮影現場では“先輩”。皆さんのことを本当に尊敬しています」
役者デビューに際して、兄・新田からは「頑張れ。1回やってみな」と後押しされ、台本の読み合わせを付き合った父・千葉からは「(芝居は)自然体でやるように」とアドバイスを受けた。芸能界入りを果たす前の眞栄田にとって、2人はあくまで“家族”という印象が強かったようだが、映画界というフィルターを通して見ると、その印象はがらりと変わった。
眞栄田「(千葉と新田が)作品の中にいる姿をとても尊敬しています。父は撮影現場にも来てくれたんですが、そこで見た姿はやはりすごいなと……。言葉ではなかなか説明できないんですが、オーラが変わる。クランクイン直後、かなり大事なシーンにチャレンジしたんですが『難しい』と悩んでいたんです。そこでアドバイスをしてもらって実践してみたんですが、画面の映り方が全然違っていました」
世代を超えて多くの人々に愛されてきた楽曲「小さな恋のうた」。「元々小さな頃から知っていて、好きな曲だった」と述べつつ、映画という形に昇華した本作について「台本を読む前までは“青春映画”だと考えていたんですが、沖縄に関する要素も含め、上辺だけじゃない話、深いものがある作品だと思っています」と語る。そして「脚本は、一緒に読んでいた父も絶賛していましたね。『これは俺のベスト30に入る』と言っていたほど」と明かしつつ、続けざまにある秘話を告白する。それは自らの名前“眞栄田郷敦”に関してだ。
眞栄田「元々あまり芸名を使いたくないと思っていたんです。父が付けてくれた“郷敦”を気に入っていて。海外でも通用しますし、変える必要はないかなと。ただ父と兄の名前に入っている“真”は使いたかった。だから“眞”という漢字を入れさせていただいたんです」
高校は音楽専門のコースに進み「朝から晩まで音楽漬けの日々。芸能界のこともあまり知らなかった」と振り返る。では、その未知なる芸能界へと、足を踏み出しそうとした瞬間はあったのだろうか?
眞栄田「サックスを始めて7年になるんですが、中学2年生の頃から東京藝術大学への進学を考えていました。でも受験した結果、不合格になってしまって、その時考えていたのが『(今の)自分にはサックス、音楽しかない』ということ。だから、もっと幅広く、色んな“芸”を磨きたいという気持ちが芽生えたんです。そこがスタートです。ずっとサックス奏者としての展望しか見てこなかったんですが、それまでにやってきたことを全て生かしつつ、幅を広げていく。(受験が)駄目になってしまったからこそ、幅も広がったんです」
挫折の経験を糧に、自らの人生を好転させる――このエピソード、ある人物の姿が思い浮かぶ。そう、父・千葉真一だ。中学生から器械体操を始めた千葉は、かつてオリンピック出場という夢を抱いていた。だが、日本体育大学在籍時、ケガの影響で選手としての活動を断念せざるを得なくなり、同校を退学。その後将来を模索するなかで「東映ニューフェイス」を受験し、日本を代表するスターへの道を突き進んだ。偶然にも父の人生をなぞるかのように、力強い1歩を踏み出し始めた眞栄田。これからの活動において意識しているのは、ジャンルの越境だ。
眞栄田「俳優、モデル、そしてミュージシャンとしても、しっかりやっていきたいと思っています。色々な表現で、様々な世代の方々に多くのことを感じていただきたいんです。俳優という職業、演技は、その1つととらえています。『俳優』『モデル』『ミュージシャン』という括り方ではなく、表現者としてエンタテインメントを届けたいと考えています」
本格始動となった19年。意気込みを問うと「『お楽しみにしていて下さい』という形でまとめさせていただきたいんですが、いいでしょうか(笑)。期待に応えられるような準備はしています」と大物を予感させる発言が飛び出した。野望を秘めたその眼差し、自らの“芸道”の果てを見据える姿に、やがては訪れるかもしれない“兄弟共演”“親子共演”を夢想せざるを得ない。
眞栄田「(20年以降に関しても)僕の中では計画やイメージがあるんです。固まっているというか、見えている部分があります。何をするにしても上を目指したい。日本、やがては海外も含め、トップのレベルで戦っていけるように努力していきます」
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
舘ひろし、芸能生活50年で初の冠番組がスタート! NEW
【“新・放送局”ついに開局!!】ここでしか観られない“貴重な作品”が無料放送!(提供:BS10 スターチャンネル)
室町無頼
【激推しの良作】「SHOGUN 将軍」などに続く“令和の時代劇ブーム”の“集大成”がついに来た!
提供:東映
サンセット・サンライズ
【新年初“泣き笑い”は、圧倒的にこの映画】宮藤官九郎ワールド全力全開! 面白さハンパねえ!
提供:ワーナー・ブラザース映画
意外な傑作、ゾクゾク!
年に数100本映画を鑑賞する人が、半信半疑で“タテ”で映画を観てみた結果…
提供:TikTok Japan
ライオンキング ムファサ
【脳がバグる映像美】衝撃体験にド肝を抜かれた…開始20分で“涙腺決壊”の超良作だった!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
トニー・レオンとアンディ・ラウが「インファナル・アフェア」シリーズ以来、およそ20年ぶりに共演した作品で、1980年代の香港バブル経済時代を舞台に巨額の金融詐欺事件を描いた。 イギリスによる植民地支配の終焉が近づいた1980年代の香港。海外でビジネスに失敗し、身ひとつで香港にやってきた野心家のチン・ヤッインは、悪質な違法取引を通じて香港に足場を築く。チンは80年代株式市場ブームの波に乗り、無一文から資産100億ドルの嘉文世紀グループを立ち上げ、一躍時代の寵児となる。そんなチンの陰謀に狙いを定めた汚職対策独立委員会(ICAC)のエリート捜査官ラウ・カイユンは、15年間の時間をかけ、粘り強くチンの捜査を進めていた。 凄腕詐欺師チン・ヤッイン役をトニー・レオンが、執念の捜査官ラウ・カイユン役をアンディ・ラウがそれぞれ演じる。監督、脚本を「インファナル・アフェア」3部作の脚本を手がけたフェリックス・チョンが務めた。香港で興行ランキング5週連続1位となるなど大ヒットを記録し、香港のアカデミー賞と言われる第42回香港電影金像奨で12部門にノミネートされ、トニー・レオンの主演男優賞など6部門を受賞した。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。