豪華若手俳優陣の“今しか見られない名演技” 40分の長回し敢行「十二人の死にたい子どもたち」
2019年1月17日 17:00
[映画.com ニュース] ベストセラー作家・冲方丁氏の小説を豪華若手キャストで映画化する「十二人の死にたい子どもたち」の撮影現場が、このほど報道陣に公開された。廃病院の一室に安楽死を求める12人の未成年が集い、恐怖と疑心暗鬼に駆られながら己の“存在”をさらけだしていく本作。5台のカメラで約40分間ノンストップの長回しを行うなど、ライブ感を全面に押し出す手法を採用。若手キャストたちの情熱、芝居のぶつかり合いなどをビビッドにとらえ、“この瞬間にしか見られない名演技”があふれる数々のシーンが完成した。
杉咲花、新田真剣佑、橋本環奈、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、吉川愛、萩原利久、渕野右登、坂東龍汰、古川琴音、竹内愛紗が顔をそろえ、「トリック」シリーズの堤幸彦監督がメガホンをとり映画化。集団安楽死を成し遂げるべく、廃病院に12人の“死にたい未成年”が集った。彼らの目の前に現れたのは、「死に方、タイミングが12人全員一致すること」というルールの違反を示す、13人目の生温かい死体(とまん)だった。やがて12人の抱える闇が判明するとともに、同時進行で犯人探しが行われていく。
本作のコンセプトは「若い俳優の演技力が試せる作品を創出する」。密室での心理戦が中軸となるだけに、俳優たちには個々のキャラを深掘りし芝居に反映させる“役づくりの力”に加え、集団演技において相乗効果を生むようなコンビネーションと爆発力が要求される。その条件を満たすキャストとして、若手トップクラスである杉咲、新田、北村、高杉、黒島、橋本にオファーを出すと、6人全員が企画意図に賛同。さらに吉川、萩原、渕野、坂東、古川、竹内ら可能性あふれる面々がオーディションで抜てきされ、次世代を担う豪華な陣容が整った。
撮影は、群馬県藤岡市の廃病院で実施。そこでキャスト陣は、5台のカメラに囲まれ芝居を繰り広げていた。5カメはテレビドラマのマルチ撮影や、舞台、コンサートの収録などでは一般的だが、映画の現場ではめったに見ない光景。堤監督はこの手法を度々採用し、“祭り”と称し好んでいる。
また、劇作家でもある倉持裕が執筆した脚本は、サスペンスフルな会話劇がふんだんに盛り込まれている。ワンシーンが6~7ページに及ぶこともざらで、クライマックスにいたっては12ページと途方もなく長い。ほとんどの場面が長回しで撮影され、あるシーンでは約40分間ノンストップでカメラが回り続けた。堤監督は都度都度、入念なリハーサルを行い、キャスト陣は細やかな心情をその身に憑依させていった。
そうして撮り上げられた本作のいたるところに、若者たちが自分の可能性と向き合い、限界から大きく飛躍していった形跡が見て取れる。「活きのいい12人の役者の勢い、ポテンシャルの高さ、ストレートに言うと“若さ”。それゆえの危うさ、怖さなどがびっくりするくらい、いい形で撮影が出来た。彼らの化学反応が想像以上に人間ドラマになり、こんなに密度の高い演技を撮ったのは初めてだった」。会心の手応えを隠そうともせず、堤監督は笑った。
「十二人の死にたい子どもたち」は、1月25日から公開。