「シュガー・ラッシュ」新作に大抜てき、大阪生まれアニメーターの背中押す宮崎駿の一言
2018年12月18日 08:00

[映画.com ニュース] 大阪生まれのアニメーターのアミ・トンプソンが、ディズニー・アニメーション・スタジオ最新作「シュガー・ラッシュ オンライン」で、劇中に登場するラルフやヴァネロペ、ディズニープリンセスなど数百種類に及ぶキャラクターデザインを指揮するアートディレクターを務めている。米ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオで取材に応じたトンプソンは「オファーをいただいた瞬間、『えっ、なんで? 冗談でしょ?』と思ってしまった」と振り返る。それもそのはずで、彼女がこの重要なポジションに任命されたのは、同スタジオに入社してわずか数カ月後のことだったのだ。(取材・文/内田涼)
小学生まで生まれ育った大阪で暮らした後、家族とともにカナダに移住。子どもの頃から「絵を描くのが大好きだった」といい、母親の「絵が好きなんだし、アニメの世界もいいんじゃない?」という一言が、進路に迷う高校時代のトンプソンを後押しした。ポートフォリオの送り先は、当時、若手アニメーター向けの研修プログラムを行っていた日本のスタジオジブリ。「その頃、アニメーションのことは何も知らない高校生だった」というトンプソンの目の前に現れたのが、当時「崖の上のポニョ」を製作していた宮崎駿監督だった。
「突然、宮崎監督が私たちのいるオフィスに入ってきて、『はい、鉛筆。はい、紙。ライトテーブルはここだよ。じゃあ、描いてください』っておっしゃって。今でも鮮明に覚えている光景ですね。特に印象に残っているのは『楽しんで描いてね』という一言。とてもさりげなくそう言うんですよ。でも、今の私もそれが一番だと思っています。好きなことをお仕事にできるんですから」

研修は「とても短いものだった」そうだが、宮崎監督をはじめ、当時、スタジオジブリで手腕を振るっていた作画監督の稲村武志氏(「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」)からも指導を受けた。カナダに戻ると、名門のシェリダン大学でアニメーションを学び、卒業後は東京のSTUDIO4℃でキー・アニメーターとして、SF作家・伊藤計劃原作の「ハーモニー」、草なぎ剛が声優を務めた「ムタフカズ」に携わった。ディズニー・アニメーション・スタジオにインターンとして入社したのは2015年のこと。その直後、「シュガー・ラッシュ オンライン」でキャラクターデザインを任されることになる。キャリアの“長さ”だけを考えれば、本人が「冗談でしょ?」と戸惑うのも無理はない。
ただし、光る才能さえあれば、在籍期間に関わらず、重要なポストを与えるのがディズニー流だ。世界中から集まった優秀にスタッフに囲まれ、トンプソンは「もっともっと頑張らなくちゃと自分を奮い立たせる毎日。丸1日かけ、1秒のシーンが完成しないことも。現場が一丸となって、いい作品にしようとゴールを目指した、長いようで短い(完成までの)2年間でした」としみじみ語る。
「私は深く物事を考えられるタイプじゃなくて、直感的にやりたいことをやっているだけ。でも、それが一番大切ですね。もちろん、やりたいこと、好きなことを仕事にするのは忍耐力も必要ですし、プロとして(趣味ではなく)仕事と向き合うことになりますが、それも含めて楽しんでいこうという気持ちを持ち続けたいです。常に学びのアンテナを立てて、インスピレーションを受けることも大切だと思います。今ですか? 楽しくお仕事させてもらっていますし、とても感謝しています」
ディズニーという世界屈指のアニメーション・スタジオで飛躍を続けるトンプソン。その背中を押しているのが、「楽しんで描いてね」という宮崎駿監督の一言であることは言うまでもない。
「シュガー・ラッシュ オンライン」は、12月21日から全国公開。
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