山戸結希監督「21世紀の女の子」の“第1歩”をともに歩んだ観客に感謝!
2018年11月2日 13:00
[映画.com ニュース] 第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門の特別上映作品「21世紀の女の子」が11月1日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでワールドプレミア上映され、企画・プロデュースの山戸結希監督をはじめ総勢14人の監督陣がティーチインに臨んだ。
本作はすべての監督が“自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーが揺らいだ瞬間”を共通テーマとして8分以内の短編を手がけ、1本のオムニバス作品として構築されたもの。助監督時代の先輩から提案された原案を基に「恋愛乾燥剤」を完成させた枝優花監督は、山戸監督から与えられたテーマに悩んだようだが「お仕事で10代の子と一緒になる機会が多くて、その時に相談されたのが“人を好きになれない”ということ。小中学生の頃は“人を好きになる”ことを楽しみにできていたのに、大人になると相手の真ん中が見えなくなる瞬間が多くなった。もっと本能的に人を好きになれればいいのになという思いを込めました」と作品の方向性を定めた。
瀧内公美と朝倉あきが共演する「Mirror」を手がけた竹内里紗監督は「山戸監督と最初にお会いした時『女性監督ばかりを集めます』と言われたんですが、『また女性監督って言われる』と感じて怖かったんです」と述懐。山戸監督へその思いを正直に伝えたところ「皆女性であれば“女性らしい感性”と言われることはない。作品それぞれに対しての話ができる映画になる」と返答され「確かにそうだなと思ったんです。自分が女性監督と言われることに違和感を持っていたので、その話をできたことが、私にとっては大切な時間でした。なので、外側から求められるイメージと、本当の自分の間で悩む人を映画にしてみようかなと思ったんです」と着想の源を告白した。
石橋静河を迎えた「ミューズ」の安川有果監督は、あるお笑い芸人と妻の存在から物語のイメージを膨らませた。「(芸人は)すごく奥さんのことを自慢する方なんです。その自慢の仕方が『酒豪で面白い妻なんだ』というもの。奥さんも有名人なので、笑いが起きるんです。彼女がテレビに出る時には、その豪快なキャラクターを保とうとするんですが、合間に見せる繊細な表情を見ているうちに『この人を自由にしてあげたい』と思ったんです」と“語られるだけの存在ではない”人物を描くに至ったようだ。
橋本愛が主演する「愛はどこにも消えない」のメガホンをとった松本花奈監督は、山戸監督からオファーを受けた当時“無駄な時間”について思いを巡らせていた。「例えば、甲子園を目指していた男の子が(野球とは)全く違う職業について、異なる人生を歩み始める――甲子園に向けて頑張った時間は無駄だったんじゃないかと考えてしまっていたんです」と振り返り、本作のテーマと向き合った結果「誰かと結婚する時、その前に付き合っていた人との時間は、決して無駄な時間だったとは思ってはいけない。過去の自分の積み重ねによって、今の自分は形成されていると思う。自分が死ぬ時に『今までの自分、好きだったな』と思えるように作りました」と答えを導き出した。
締めの挨拶を任された山戸監督は、竹内監督の発言を引用して「『女性監督ならでは』という言葉は、おそらくここにいる全員が言われたことがあるはず。それに言葉で反論しようとは思いません。言葉を映画が追い越す瞬間があると思っているからです。映画的な批評よりも、批評的な映画の方がずっと速度が早いと思います。これは批評へのチャレンジでもあります」と高らかに宣言。「この場に強い意志を持って見に来てくださった皆さんと“第1歩”をともにさせていただいたという思いでいっぱいです。皆さんの話、めっちゃ面白かったです! 最後まで笑顔で聞いてくださったので、とても良い始まりでした」と観客に謝意を示し、2019年2月8日から封切られる劇場公開版では、作品の並びが変更されることを明かした。
なおティーチインには、「君のシーツ」の井樫彩監督、「粘膜」の加藤綾佳監督、「reborn」の坂本ユカリ監督、「I wanna be your cat」の首藤凜監督、「珊瑚樹」の夏都愛未監督、「out of fashion」の東佳苗監督、「セフレとセックスレス」のふくだももこ監督、「回転てん子とどりーむ母ちゃん」の山中瑶子監督、「projection」の金子由里奈監督も登壇した。「21世紀の女の子」は、19年2月8日から全国順次公開。第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
マフィア、地方に左遷される NEW
【しかし…】一般市民と犯罪組織設立し大逆転!一転攻勢!王になる! イッキミ推奨の大絶品!
提供:Paramount+
外道の歌 NEW
【鑑賞は自己責任で】強姦、児童虐待殺人、一家洗脳殺人…地上波では絶対に流せない“狂刺激作”
提供:DMM TV
ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い NEW
【全「ロード・オブ・ザ・リング」ファン必見の超重要作】あれもこれも登場…大満足の伝説的一作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
ライオン・キング ムファサ
【全世界史上最高ヒット“エンタメの王”】この“超実写”は何がすごい? 魂揺さぶる究極映画体験!
提供:ディズニー
中毒性200%の特殊な“刺激”作
【人生の楽しみが一個、増えた】ほかでは絶対に味わえない“尖った映画”…期間限定で公開中
提供:ローソンエンタテインメント
【推しの子】 The Final Act
「ファンを失望させない?」製作者にガチ質問してきたら、想像以上の原作愛に圧倒された…
提供:東映
映画を500円で観る“裏ワザ”
【知って得する】「2000円は高い」というあなただけに…“超安くなる裏ワザ”こっそり教えます
提供:KDDI
モアナと伝説の海2
【モアナが歴代No.1の人が観てきた】神曲揃いで超刺さった!!超オススメだからぜひ、ぜひ観て!!
提供:ディズニー
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。