柄本佑「きみの鳥はうたえる」の“僕”役は空・山・海と並列の存在
2018年11月1日 17:00
[映画.com ニュース] 北海道・函館出身の作家・佐藤泰志氏による小説を映画化した「きみの鳥はうたえる」が11月1日、第31回東京国際映画祭のJapan Now部門で上映され、主演の柄本佑、メガホンをとった三宅唱監督が、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズでのティーチインに臨んだ。
函館郊外の書店で働く“僕”(柄本)と、一緒に暮らす失業中の静雄(染谷将太)、“僕”の同僚である佐知子(石橋静河)。いつしか恋人の関係になった“僕”と佐知子は、静雄とともに夜通し酒を飲み、踊り、笑い合う幸福な日々を送る。しかし、終わりゆく夏とともに、3人の関係にも次第に変化が訪れる。
10月27日に母・角替和枝さんを亡くした柄本だが、観客の前では気丈に振る舞い「『きみの鳥はうたえる』は、僕のなかでも宝物のような作品。この作品で初めて来られたことがとても嬉しいです」と初参加となった東京国際映画祭の場で笑顔を見せた。今年のJapan Now部門のテーマは「アンビギュイティ(曖昧さ、多様性)」。その関連性について三宅監督は「僕自身は作っている途中に、アンビギュイティという言葉は念頭にはなかった。ただ“僕”という男には色んな一面がある。その一面がシンプルだからこそ、矛盾する2つの要素があっても気にしなかった」と話し、「シンプルであること」「矛盾を恐れない」がテーマだと明かした。
柄本が“僕”を演じる上で意識したのは「真っ直ぐいる」ということ。「人を見たり、物を見たりする時、その目は“直線的”でいようと。そうすると、(“僕”を)色んなところから見た時に様々な見方ができる」「“僕”は主張がないというか……演じている時に思っていたのは『空、山、海……僕』みたいな感じです。“空気のような存在になれる”というのはずっとやっていたんですが、ラストはやはり自然でなくなるんですよね」と語っていた。さらに石橋の存在は不可欠だったようで「色んなことを素直に受けいれてくれる壁のないやつなんです。石橋さんが佐知子だったというのは、“僕”になった原因のひとつだった」と振り返っていた。
“肉体で語ること”が重視されている点を指摘された三宅監督は「この映画の企画自体、原作の小説がある。そこでは文学という芸術によって、3人のドラマが完全に描かれているんです。それと同じことをする意味はない。映画は“映画の表現”をすべきで、その際には素晴らしい役者たちの肉体が必要。それをどうとらえるかが勝負どころだと思った」と告白。さらにカット割りに関する疑問に対して「この小説はサッカーに例えると、パス交換、コーナーからボールを拾いに行く時間、スローイングの戸惑いなどをとらえたもの。扱っている時間自体が、ゴールシーンではないんです。『(劇中で描かれているシーン以外に)時間はあるよね?』ということを感じてほしかった」と答えていた。
第31回東京国際映画祭は、11月3日まで開催。
フォトギャラリー
関連ニュース
山田裕貴主演でミステリーランキング2冠「爆弾」映画化! 伊藤沙莉×染谷将太×渡部篤郎も参戦【超特報映像もあり】
2025年1月21日 05:00
映画.com注目特集をチェック
キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド NEW
【この最新作を観るべきか?】独自調査で判明、新「アベンジャーズ」と関係するかもしれない6の事件
提供:ディズニー
セプテンバー5 NEW
【“史上最悪”の事件を、全世界に生放送】本当に放送していいのか…!?不適切報道か否か?衝撃実話
提供:東和ピクチャーズ
ザ・ルーム・ネクスト・ドア NEW
【死を迎える時、どんな最期を選びますか?】“人生の終わり”と“生きる喜び”描く、珠玉の衝撃作
提供:ワーナー・ブラザース映画
君の忘れ方
【結婚間近の恋人が、事故で死んだ】大切な人を失った悲しみと、どう向き合えばいいのか?
提供:ラビットハウス
海の沈黙
【命を燃やす“狂気めいた演技”に、言葉を失う】鬼気迫る、直視できない壮絶さに、我を忘れる
提供:JCOM株式会社
サンセット・サンライズ
【面白さハンパねえ!】菅田将暉×岸善幸監督×宮藤官九郎! 抱腹絶倒、空腹爆裂の激推し作!
提供:ワーナー・ブラザース映画
開始20分で“涙腺決壊”
【激しく、心を揺さぶる超良作だった…!】脳がバグる映像美、極限の臨場感にド肝を抜かれる!
提供:ディズニー