井浦新、恩師・若松孝二監督役を全う「バカたれと笑いながら怒られたい」
2018年9月20日 22:10
[映画.com ニュース] 2012年に交通事故で急死した若松孝二監督が映画作りに懸けた情熱を描く「止められるか、俺たちを」の完成披露上映会が9月20日、東京・テアトル新宿で行われ、弟子の白石和彌監督、主演の門脇麦、若松監督を演じた井浦新が舞台挨拶に立った。
若松プロ初の女性の助監督・吉積めぐみさんの存在に魅せられた白石監督が、「居ても立ってもいられず」映画化に向け奔走。かつて若松組を支えた先輩たちの協力も得て完成させ、「これほどの衝動を持って撮った映画はなく、いろいろな思いが詰まっている。若松さんは自分を描くのは絶対イヤな人なので、バカヤローと言っていると思う」と感慨深げに話した。
「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」(2012)などに主演し、若松組の常連だった井浦も「晩年のすべての作品に呼んでいただいて、映画の世界の父親のような存在」と思いをはせた。だが、「あまりに唯一無二の存在なので、演じるのは本当に厄介な作業だった。でも、何とかなってしまいました。自分の中にいる若松監督があふれ出てくるような、幸せな時間でした」と満足げに振り返った。
撮影前には若松組の諸先輩から「若ちゃんをやれるわけねえだろう」「変なもの撮ったら承知しねえぞ」などと懐疑的な言葉を向けられたが、「モノマネをするつもりはないと」と断言。結果は「けっこうモノマネをしまくっていますね。これは僕の大先輩に対する最大のギャグ。真剣にやるのは大前提で、最大の愛情で笑わせて、若松監督にバカたれと笑いながら怒ってもらいたかった」と強弁した。
若松監督との接点はないが、主役のめぐみに抜てきされた門脇は「ゆかりのある方がそろっているので、思いは到底届かないものはある。不安はあったが、めぐみさんは知らないで飛び込んでいった女性なので境遇は一致している。苦しんでいる先輩たちを見ながら、真ん中でフラットにいることが役割と割り切った」と説明。そして、「暑苦しくて、泥臭いけれど、シャカリキに生きるのが格好いいと思える、これぞキラキラ青春ムービーです」と言葉に力を込めた。
「止められるか、俺たちを」は、10月13日から全国で公開される。
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