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ノルウェー連続テロ事件が題材のP・グリーングラス新作、ベネチアで大きな注目集める

2018年9月8日 13:30

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[映画.com ニュース] ポール・グリーングラスが2011年7月にノルウェーのオスローとウトヤ島で起きた連続テロ事件を題材に映画化した話題作「22 July」が、第75回ベネチア国際映画祭で上映され、大きな注目を集めた。

グリーングラスは、これまでにも「ブラディ・サンデー」や「ユナイテッド93」など、実際の事件を元にしたドキュメンタリースタイルの作品を手がけてきたが、本作は事件そのものを描くというよりむしろ事件後の影響、被害者たちがそのトラウマとどのように向き合っていったのかを描いた作品。その意味ではよりフィクションの色合いが強いが、繊細かつ骨太な作りで監督の手腕をうかがわせる。

現地で会見に出席したグリーングラス監督は、本作の意図について「映画にはさまざまなタイプのものがあっていいと思いますが、わたしにとって映画は世界を映す鏡であり、いまわたしたちがどのような状況にあるのかを考えさせる役割を担うと思っています。この映画でも、いま世界で何が起きているか、そしてわたしたちはどこに向かっていくのかの問いを観客に投げかけたかったのです」と語った。また本作がNetflixの製作であることについて、「特に若者に見て欲しいという思いがあり、Netflixなら世界のより多くの人に届くのではないかと思いました」と、その理由を語った。

今年のベネチアのコンペティションではもう1作、少女時代に遭遇した無差別テロの後遺症を描いたナタリー・ポートマン主演、ブラディ・コルベール監督の「Vox Lux」があった。もともと歌に才のあったヒロインが、事件を乗り越えやがて歌手としてデビューし成功するものの、トラウマに悩まされ続ける。もっとも、こちらはステージシーンの派手さなどが目立ち、問題提起よりもむしろミュージカルの要素を描きたかったのではないかと思わせる印象を与える。ポートマンが女性版デビッド・ボウイのようなステージングを披露するのが目を楽しませてくれるが、評価としては割れた形になった。(佐藤久理子)

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