【独占手記其の二】塚本晋也監督、ベネチア国際映画祭での様々な出会いに思い巡らす
2018年9月6日 12:00

[映画.com ニュース] 第75回ベネチア国際映画祭が8月29日(現地時間)、伊ベネチアで開幕した。塚本晋也監督の最新作「斬、」は、最高賞の金獅子賞を競うコンペティション部門に選出。塚本監督の同映画祭への出品は8度目だが、コンペ部門への参加は「野火」に続き4年ぶり3度目となる。池松壮亮と蒼井優が主演する今作でも出演、脚本、撮影、編集、製作を兼ねる塚本監督が、縁の深い同映画祭への思いを明かした。
初めてベネチア国際映画祭に参加したのは、1997年、37歳の時。光栄にもメインコンペの審査員としてだった。それまで自分の作品はこの歴史ある映画祭に呼んでいただいたことがなかったので、なぜ自分が選ばれたのか謎だった。
聞けば、映画祭関係者に「鉄男」ファンがいたらしい。思えば「鉄男」がグランプリをいただいたのもイタリア。ローマファンタステッィク国際映画祭だった。イタリアは我が第二の故郷。グラッチェ、としか言いようがない。
この年のグランプリは、北野武監督の「HANA-BI」。人里離れた場所まで船でゆき、楽園のような場所にぽつんとあるレストランで審査が行われた。そこは映画祭ディレクターも入場できない厳格な場所だった。「HANA-BI」の受賞が決まったとき、まだ日本の誰もこのことを知らないという特別な瞬間を噛み締め、庭に出た。楽園には蝶が舞い、足元には無数の蟻が動いていたのを覚えている。

翌年「バレット・バレエ」で初めて映画を携えての参加。その後、呼んでいただいたのは「双生児」。「六月の蛇」はコントロコレンテ部門で審査員特別大賞。「ヴィタール」は招待作品として上映され、「鉄男THE BULLET MAN」はSFアクションにも関わらずメインコンペに。「KOTOKO」はオリゾンテ部門の最高賞を。「野火」は二度目のメインコンペ。今回の「斬、」は三度目のメインコンペ参加になる。
ベニスに着いて、映画祭会場のあるリド島には小さなボートでゆく。ベニスの水没しそうな美しい風景を見ながら初めて訪れたときの爽快さが忘れられず、過酷な撮影を乗り切った俳優さんへの感謝の気持ちをこういうところで表したいと常々思っている。ボートは豪華なエクセルシオールホテルに直に入る。
黒澤明監督が、評価を得られず釣り糸を寂しく垂れていたときに吉報が舞い込み、その後の映画人生が変わることになるベネチア映画祭。黒澤監督の名スクリプター・野上照代に出会ったのもこの映画祭だった。そういう映画祭に呼んでいただけるだけで姿勢がまっすぐになる。そして自分の作品を上映していただけるなんて光栄中の光栄のこと。毎回そう思う。光栄の場所で初めて観客に見てもらい、反応を見たときにその後の映画の行方がだいたいわかる。そして目の前の大きなスクリーンに、次はどんな映画を写そうかと高速で頭を巡らせるのだ。
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