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ウズベキスタンってどんな国? 前田敦子主演、黒沢清監督新作「旅のおわり、世界のはじまり」撮影現場レポ

2018年7月23日 07:00

ヒロインの異国の地での体験と成長を描く「旅のおわり、世界のはじまり」

ヒロインの異国の地での体験と成長を描く
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[映画.com ニュース]女優の前田敦子が、黒沢清監督の「Seventh Code」(2014)以来4年ぶりに映画主演を務め、黒沢監督によるオリジナル脚本で、ウズベキスタンでのオールロケに挑んだ最新作「旅のおわり、世界のはじまり」。映画.comが同国の首都タシケントでの撮影現場に立ち会い、前田と黒沢監督に話を聞いた。

本作は、日本とウズベキスタンの国交樹立25周年と、第2次大戦後に日本兵捕虜が建設に関わったナボイ劇場が、1947年10月の完成から70周年を迎えたことを記念した両国の共同製作企画。歌手を目指しているが、現在はテレビバラエティ番組のレポーターを務めているヒロインの葉子(前田)の、異国の地での体験と成長を黒沢監督ならではの映像表現で描いた物語だ。

ウズベキスタンは中央アジアに位置する旧ソ連の共和国で、東京からおよそ6000キロ離れた首都タシケントには、直行便で約9時間で到着する。シルクロードの要所という異国情緒あふれる文化と、旧ソ連時代の建造物が共にあるタシケントの興味深い街並み、日本人が建設に関わったナボイ劇場、世界遺産に登録されている古都サマルカンドなど同国の代表的なスポットのほか、その地に住む人々の息遣いを感じさせる市場や路地でも撮影が行われた。


古都サマルカンドのビビハニム・モスク「旅のおわり、世界のはじまり」

古都サマルカンドのビビハニム・モスク
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日本の一橋大学への留学経験を持つアジズ・アブドゥハキーモフ観光大臣(取材当時、現在副首相)は「古くから広い地域に、様々な民族や文化が流入してきた国です。ヨーロッパ系、アジア系、さまざまな顔を持つ人たちが街を歩いています。異なる文化、民族、宗教を持つ人々が共存した、面白い魅力のある国だと思います」と同国の特色をアピール。第2次大戦後、ソ連の捕虜となった日本兵がウズベキスタンに派遣され、ナボイ劇場やダムなどの建設に携わったことに言及し、「今でもウズベキスタン人は日本人墓地をとてもきれいに扱っています。今でも日本とは文化的、経済的な結びつきがあります」と両国のつながりを語る。

取材陣は、ロケ地となったタシケントのチョルスー・バザール、遊園地や水族館などを訪問し、老舗ホテルと、ナボイ劇場での撮影に立ち会った。世界的に高い評価を受ける黒沢監督が陣頭指揮をとるとあって、日本のスタッフたちのプロフェッショナルな緊張感と、ともに働く現地スタッフの柔軟さが合わさったチームワークの良さを感じる現場だった。


現地の人々から温かい歓迎を受けた「旅のおわり、世界のはじまり」

現地の人々から温かい歓迎を受けた
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渡航前は同地に関する情報の少なさから、若干の不安もあったそうだが、撮影後半を迎えた取材時には「何も苦労してないですね」と微笑む前田。「停電があったり、ホテルのお湯が出なかったことはありますが、笑い話にできるようなことしかないので、何の困難もないです。ザ-ミンという、一生に一度行けるか行けないかという場所に撮影で来れたのは、本当に幸せでした」「カメラマンは芦澤明子さんですし、どんなものができあがるんだろうっていうワクワクが止まりません。私がスマホで写真を撮るだけでも、(日本の景色とは)色が違ってキレイで。ここでないと、映し出されないものがあるんだなと実感しました」と振り返る。

現地の俳優やスタッフとの交流も、前田にとって大きな刺激になったという。「通訳の方がたくさん入ってくださっていて、『あの人すごいんだよ』とか教えてくれるんです。そういう方たちと交流できるのはすごく刺激的。エキストラの方たちもたくさん参加して、嫌な顔ひとつせずに撮影を歓迎してくれて……。あるシーンの時には、目の前のおうちの方が、休憩のために家に招いてくれたこともありました」と日本では得られない体験をした。


映画にも登場するウズベキスタン名物「プロフ」「旅のおわり、世界のはじまり」

映画にも登場するウズベキスタン名物「プロフ」
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撮影の合間には、散策やショッピングを楽しんだ。「ウズベキスタンって、都市によって風景が全然違うんです。見て楽しい、買って楽しい、食べて楽しい。食べ物も色々なメニューがあって飽きないです。おみやげの買い物で楽しかったのは、サマルカンド。私は、シルクのラグを買いました。すごく素敵なものが安く手に入るので、女子の旅行にはめちゃくちゃおススメです」と目を輝かせる。

黒沢監督は、14世紀に現在のウズベキスタンを中心に勃興したティムール朝の歴史に以前から興味を持っていたという。「世界史のいろんな時代、国々がありますが、ユーラシアのど真ん中で一時は世界の中心だった場所なので、ロマンがありますよね。これまで、ウズベキスタンで映画を撮ろうなんて考えたことはなかったのですが、お話を頂いて、サマルカンドやタシケントにいけるとわかっただけで、ワクワクしました」と、「Seventh Code」のウラジオストク、「ダゲレオタイプの女」のパリに続き、3度目となる海外での映画製作を即決した。


撮影中の一コマ「旅のおわり、世界のはじまり」

撮影中の一コマ
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撮影の感想を求めると、クランクアップ前ということもあり「細かいことはいろいろありますが、まだ客観的には見られませんね」とのコメントだったが、時間をかけたロケハンへのこだわりを語ってくれた。

「初めての土地でどこも新鮮に見えましたし、ロケハンは大変でした。地元の人は面白い場所をすぐには教えてくれないんです。まずは、風光明媚なところから徐々に案内してくれ、根掘り葉掘り聞いていくと、地元のひとはあまり見せたくないのか、どうでもいいと思っているところが出てくる。映画を撮る側からすると、そちらのほうが非常に興味深く、そんな場所がありすぎて、どこも使いたくて困っています。物語上の狙いがあって、観光地はチラッと映ることはありますが、そこで撮影はせず、人々がごった返す場所や、裏通りであったり、通常の観光客があまり訪れない庶民的なところを選んだつもりです」と明かす。


タシケントのバザール「旅のおわり、世界のはじまり」

タシケントのバザール
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これまでも、作品の中で日常と非日常の世界の境界線を巧みに描いてきた黒沢監督。「何千年も前から、このあたりは様々な民族や国家が入り混じっていた土地。僕は専門家ではないので、深く言及できませんが、境界線があるようでないと感じます。そこで、異質なものと出会ったときの隔たりをどうやって越えるのか。見えなかった線が急に見えてしまってぶつかる、もちろん、そういう状況はいくらでも日本でもあるでしょうし、突然気付いたその線をどうやって越えるかがテーマのひとつ」と述べる。監督自身にとっても「撮影がなかったら来られなかったような場所で長期間過ごしたことは、大変刺激的でした」と、非日常といえる今回の滞在は、長年のキャリアにおいても貴重な経験となったようだ。前田とウズベキスタンという土地がどのように影響しあい、映画的な化学反応が起こるのか楽しみでならない。

(映画.com速報)

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