今だから見ておきたい、北朝鮮に関する映画5本
2018年6月12日 17:00

[映画.com ニュース] 6月12日、トランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による、歴史的な米朝首脳会談が実現した。一般的に「謎のベールに包まれた国」と称される北朝鮮だが、実はこの国に関する映画は意外に多い。ここでは、北朝鮮のお国柄を掘り下げるのに役立つ、映画.com編集部が選んだ映画を5本紹介しよう。
まず1作目は「金日成のパレード 東欧の見た“赤い王朝”」。こちらは、1989年にポーランドの映画スタッフによって製作されたドキュメンタリー。隣国・韓国でソウルオリンピックが開催された88年、これに対抗するべく平壌で行われた朝鮮民主主義人民共和国の建国40周年記念式典の模様を記録している。100万人が一糸乱れぬ壮大なパレードを行う模様が圧巻。建国の指導者・金日成(キム・イルソン)を神格化する北朝鮮社会の姿を、逆説的に明らかにしていく。日本では91年に劇場公開された。
続いて「プルガサリ 伝説の大怪獣」。こちらは、日本の「ゴジラ」などの特撮スタッフを迎えて製作された北朝鮮産の怪獣映画だ。製作年は85年で、映画好きで知られた金正日(キム・ジョンイル、後の総書記)が自らプロデュースしたと言われている。日本からは協力特撮監督として中野昭慶、プルガサリの着ぐるみの中にはゴジラ俳優として著名な薩摩剣八郎が入るなど貢献したが、どちらもノー・クレジット。出演はチャン・ソニほか。撮影時の監督はシン・サンオク。
そのシン・サンオク監督は後に米国へ亡命するが、78年に起こったサンオク監督と韓国の国民的女優チェ・ウニの拉致事件を追ったドキュメンタリーが「将軍様、あなたのために映画を撮ります」。映画マニアであった金正日が、映画を製作するために2人を拉致し、サンオク監督は金正日から与えられる潤沢な資金と、自由に撮影ができる環境下で映画製作に熱中。北朝鮮で17本の映画を手がけた。当時、事件を調査した元CIA職員などへのインタビュー、さらにシン監督が秘密裏に記録した金正日とのやりとりの録音テープなどから、78年の拉致から86年の亡命までの顛末が描かれていく。
米朝首脳会談にひっかけて、ちょっと毛色の変わったものも紹介しよう。「チーム★アメリカ ワールドポリス」は、「サウスパーク」で知られるトレイ・パーカーとマット・ストーンが製作した過激なパペットアニメだ。「金正日が、大量破壊兵器をテロリストたちに売りさばこうとしている」という情報をキャッチした国際警察「チーム・アメリカ」が、全力でそれを阻止する作戦を描くコメディ。金正日は悪役として登場し、徹底的におちょくられている。人形アニメなのに、何故かR-18。
最後は、これから日本でも公開されるドキュメンタリー「北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ」。北朝鮮で海外ミュージシャンとして初のライブを行うことになった旧ユーゴスラビアのロックバンド、ライバッハに密着し、想像を超えた厳重な監視体制の中、ライブ開催までの混乱と緊張の1週間を追っている。こちらは16年の製作だ。
以上、北朝鮮関連映画を5本紹介したが、ここで紹介したものに限らず、北朝鮮関連のドキュメンタリーは押し並べてクオリティが高い。また、北朝鮮当局の監視・検閲の跡が随所に現れているのも興味深いところ。そして「チーム★アメリカ」のように、北朝鮮の最高指導者をおちょくった映画が時々現れるが、14年にセス・ローゲンらが作った「ザ・インタビュー(原題)」という映画は、北朝鮮当局から抗議され、その後配給元のソニー・ピクチャーズに対する大規模なサイバー攻撃の引き金となった過去がある。残念ながら、この映画は日本では公開されなかった。
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