村上春樹の短編小説「ハナレイ・ベイ」が映画化 出演は吉田羊&佐野玲於&村上虹郎
2018年5月10日 05:00
[映画.com ニュース] 日本を代表する作家・村上春樹氏による短編小説「ハナレイ・ベイ」が映画化されることになり、吉田羊が主演、佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIB)と村上虹郎が共演することがわかった。メガホンは、「トイレのピエタ」などの松永大司監督がとっている。
村上氏が2005年に発表した短編集「東京奇譚集」に収められている一編を実写化。ピアノバーのオーナーでシングルマザーのサチは、息子のタカシがハワイ・カウアイ島のハナレイ・ベイで亡くなったことを電話で知る。サーフィン中にサメに襲われ、片足を食いちぎられたという。現地でもの言わぬ息子と対面したサチは、遺骨とともに日本へ帰ろうとした矢先、ふと足をとめ、息子が命を落とした浜へと向かう。
チェアを持って海岸に行き、本を読んで時間を過ごし、時折、じっと海を見つめる。タカシの命日の時期にハナレイ・ベイを訪れ、サチは数週間を過ごした。10年間、毎年だ。ある時、2人の若い日本人サーファーと出会い、ある噂を耳にする。それは、「赤いサーフボードを持った“右脚のない日本人サーファー”がいる」というものだった。
映画やドラマなどで活躍する吉田が、喪失を抱えた母・サチを体現。「読書が苦手だった私が、初めて一気に読んだ本が『ノルウェイの森』でした。頁を手繰る手ももどかしかったあのムラカミハルキの作品世界に、しかも映画で自分が生きられる、これ以上の幸せはありません」と出演の喜びを語る。さらに、「監督と一緒に闘い作り上げた主人公サチは、もはや本の中の登場人物にとどまらず、ありありとした痛みを伴い実在する、非常に生々しいヒロインになりました。恐らく、私がこれまで演じてきたどの役にもない生命力をサチは持っています。静ひつながら雄弁なカウアイ島の自然の中で『喪失』と向き合い、もがき苦しみながらも声をあげることすらままならない彼女の深い悲しみの先の、ふっと小さく生まれる救いのような希望のような何かを、日本そして世界中の皆様と共有したいと願っています」と熱く説いた。
初主演映画「虹色デイズ」の公開を控える佐野は、息子・タカシ役に。「一番大切な人に会いたくなるような、その人への思いがより深くなるような、そんな物語です」とアピールした。「武曲 MUKOKU」などで確固たる演技力を見せた村上は、サチが出会う日本人サーファー・高橋を演じており、「相棒の三宅を演じた佐藤魁(『テラスハウス ALOHA STATE』)はほんとにワンダフルナイスガイなので、面白いコンビになっていると思います」とコメントを寄せている。
映画「ハナレイ・ベイ」は、ほかに栗原類らが出演し、10月19日から全国で公開。Youtube(https://youtu.be/wMg5MWsV5CM)では、特報映像も披露されている。