オスカー女優アリシア・ビカンダーはどうやって“トゥームレイダー”になった?
2018年3月21日 12:00
[映画.com ニュース] 「リリーのすべて」「エクス・マキナ」のオスカー女優アリシア・ビカンダーが、あのララ・クラフトを演じる。このニュースに、驚いた映画ファンは少なくないだろう。「コードネーム U.N.C.L.E.」「ジェイソン・ボーン」とアクション大作への出演はあれど、本格アクションの主演は初。過酷な肉体改造に励み、「トゥームレイダー ファースト・ミッション」(公開中)でアクション・ヒロインへの道を踏み出したビカンダーに、話を聞いた。
本作は、アンジェリーナ・ジョリー主演でシリーズ化もされた人気ゲームの再映画化。バイク便のメッセンジャーとして働くララ(ビカンダー)が、失踪した父が残したメッセージに記された“幻の秘宝”を見つけるため、冒険に出るさまを描く。ビカンダーは、「5分に1回訪れる」と言っても過言ではない過激なアクションシーンに果敢に挑戦。演技派として押しも押されぬ存在でありながら、なぜそのような肉体をいじめ抜く挑戦に踏み切ったのか?
ビカンダーは「私は、チャレンジが大好き。だって、女優だから」と涼しげに語る。「私の仕事の一部は、限界を押し進めることなの。もし人々が、『驚かされた』と言えば、その反応は私を幸せにしてくれる。『私はこれが得意だ』と言うのも、繰り返すことを心地よいと感じるのも、簡単なこと。でも私は、自分がこれまでにやったものと違う役やキャラクターを作りたいと感じていた。私はアドベンチャー映画を映画館で見るのがずっと大好きだったし、『インディ・ジョーンズ』や『ハムナプトラ』を見て育ってきたの。若いときにダンスをしていたのだけれど(ビカンダーはスウェーデン王立バレエ学校出身)、“こういった大きなアクション・シークエンスやスタントをやるのはどんな感じだろう?”とよく思っていたわ。そして私は今、それをやったのよ」。
本作に挑むに当たっては、「撮影を始める前の4カ月間、1週間に6日ジムにいたわ。私はただ強くなるだけでなく、動けるような体にしたかったの。ロック・クライミング、MMA(ミックス・マーシャル・アーツ)、少しボクシングをやって、泳いだわ。そして、自転車のトレーニングね。アーチェリーもたくさんやったわ。それに、たくさん食べて体重を10~12ポンド(4.5~5.4キログラム)増やした」と多岐にわたるメニューを精力的に消化したという。さぞかし苦労したかと思いきや、「(こうした役作りは)私の仕事の大きな特権だと気づいたわ(笑)。自分にはダンスをやってきた背景があるから、楽しむことができた」と充実感たっぷりに続ける。
「本当の自分よりもあることに長けているようなふりをするのが、私の仕事。それは素晴らしいことよ」と語るビカンダーにとって、ハードなトレーニングも体当たりの撮影も、すべてララ・クロフトに“なる”ためのプロセスであり、楽しみしかなかったのだろう。「私たちは、アクション・シークエンスを現実に合わせたものにしたかった。本作では、ララが自分の賢さとツールを使って、大きな男性を倒すことできる。そういったことがストーリーに組み込まれているのは、大好きだった。女の子が強くなれるのを見せることができるのもね」とビカンダーが言うように、本作は普通の女性だったララが、“トゥームレイダー”ヘと変ぼうしていく姿を鮮やかに描いている。それは同時に、ビカンダーという女優が、アクションスターへと変身していく過程でもあるのだ。
本作で描かれる新たなララ・クロフト像について、「弱い面と、いつもなんでもうまくやれるわけじゃないという事実は、多分、私たちの時代のスーパーパワーよ。内面の本当の自分を見せることができるという事実はね。そして、そのことが人々を感情移入させることになるといいわ」と語ったビカンダー。本作で新たな魅力を十二分に見せ付けたオスカー女優は、「私はヨーロッパのアートハウス映画の出身だけど、そういったルーツはビッグバジェットの映画に出演する機会を奪うことにはならない」と力強く言い切った。