「ガレッジセール」ゴリ監督・脚本×奥田瑛二主演、家族の絆描く「洗骨」完成
2018年3月4日 15:30

[映画.com ニュース] 「ガレッジセール」のゴリこと照屋年之が監督と脚本を兼ね、主演に奥田瑛二を迎えた映画「洗骨」が完成。沖縄の離島・粟国島に残る洗骨(せんこつ)という風習を通して生まれる家族の絆や、祖先から繋がる命のバトンを描いた。
映画は、照屋監督が2016年に自ら主演し製作した短編「born、bone、墓音。」を原案にした長編映画。洗骨とは、1度土葬や風葬した遺体の骨を、海水や酒などで洗い、再度埋葬する葬制。その儀式を通し、バラバラだった家族が再生してゆく姿や、血のつながり、親から子へ生命が鎖のように繋がれていく様を紡いだ。照屋監督にとって、「南の島のフリムン」(2009)以来2本目の長編作品となる。
粟国島・粟国村にある新城家の長男・剛は、母・恵美子の洗骨のため、4年ぶりに父・信綱がひとりで住む実家に戻る。信綱は、恵美子の死をきっかけにやめたはずの酒を隠れて飲み、生活は荒れていた。そこへ、美容師として名古屋で活躍し、妊婦となった長女・優子も帰ってくるが、その変化に家族一同は驚きを隠せない。それぞれの思いと事情を抱える新城家の面々は、数日後に迫る洗骨の儀式までに家族の絆を取り戻すことができるのか。
照屋監督は、洗骨という風習を「沖縄出身の僕ですら知らなかった」といい、「調べれば調べるほど、命を授かった先祖に対する感謝の恩返しを『骨を洗う行為』に感じます。命が繋がるとは何なのか? そんな当たり前に命のリレーをしてきた我々の生活を、ひとつの家族を中心にハートフルコメディー調に仕上げてみました」と語る。

信綱役を演じた奥田は、「沖縄の海を目の前にして撮影を重ねていると、ただただ役の人物、そのものだけが存在していた。だから、自分がどんな風に映っているのか、どう演じていたのか、まったくわからない。わからないことが新鮮で、明日につながる。沖縄で過ごした1月余が宝物となった。これは、ひとえにゴリ監督の手腕と映画への愛にほかならない」と照屋監督に賛辞を贈っている。
また、剛役の筒井道隆は「人はいつか死にます。人を送りだす方法は国や地域によって違いますが、この『洗骨』という作品を見て死について少しでも真剣に考えていただけたら嬉しいです」とコメント。優子役の水崎綾女は、「撮影期間中、常に妊婦姿で過ごしていたので出産シーンの時に命の誕生に感動し涙が止まらなかったのを覚えています。自分自身を産み落としたような気持ちになりました。例え家族がバラバラになっても“洗骨”を通して、父、兄、娘、それぞれの思いがまたひとつになれる。大切な人と、大切な人を思い出して見ていただきたい作品です」とアピールしている。
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