来日したテリー・ジョージ監督「THE PROMISE」は「2018年最高のヒーロー映画」
2018年1月25日 18:00
[映画.com ニュース] ルワンダ虐殺の史実を元にした映画「ホテル・ルワンダ」が日本で公開を求める署名運動が起きるなど話題を呼んだテリー・ジョージ監督が、最新作「THE PROMISE 君への誓い」を携えて初来日。1月24日には、都内で行われた上映会に出席した。
ジョージ監督は「『ホテル・ルワンダ』に関して、日本で公開を求める署名運動があったことを、実は来日して初めて知りました。多くの方にサポートいただいたことをうれしく思います」と日本の映画ファンへの感謝を口にする。オスマン帝国(現在のトルコ)により、組織的に行われたと言われるアルメニア人大虐殺の悲劇を背景に、激動の歴史に翻弄される3人の男女の運命を描き出す本作について「この映画もまた、市井の人々が大きな悪に直面し、生き延びていくさまが描かれています」と語った。
負の歴史を描きつつも、それぞれ異なる立場の3人の男女のラブストーリーでもある本作。「デビッド・リーン監督の『ドクトル・ジバゴ』や『ライアンの娘』のような語り口を持った作品で、恋愛関係の背景として歴史が展開していきます。エンターテインメントとして観客の皆さんを楽しませたいという思いがありました」と明かした。
この日は、イラン出身で、イラン・イラク戦争の空爆で家族を失い、その後、養母と共に来日したという経験を持つ女優でタレントのサヘル・ローズがゲストとして来場。監督にアルメニアの国花のアネモネの花束を手渡した。
中学生で「ホテル・ルワンダ」を見て以来、取材などでも常に好きな映画として同作を挙げていたというサヘルは本作を見て「胸が痛みました」と告白。「幸せな状況で暮らしていたはずが、気づいたら隣人や友達が自分を殺めようと武器を向けているという、怖くなるシーンがありました。この歴史を知らなかったことにショックを受けました」と語る。
監督もサヘルも、本作が単なる“過去”を描いただけではないと強調。映画製作中にはシリア難民の姿が日々、報じられていたそうで「現在に通じるテーマだと思って作っていた」と監督が語れば、サヘルも「いまも我々は同じ歴史を繰り返していることに苦しみを覚えました」とうなずいた。
最後に、監督は日本の観客に向けて「空は飛ばないけれど、2018年の最高のヒーロー映画だとお伝えください」とアピール。かつてバットマン役を演じたクリスチャン・ベールが出演していることに触れ「ここでは彼は、リアルなヒーローを演じています」と笑顔。「もしまた署名運動があれば、今度は僕も署名します」とユーモアたっぷりに語っていた。
「THE PROMISE 君への誓い」は、2月3日から全国公開。
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