ライアンの娘

劇場公開日

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解説

反英世相高まるアイルランドの寒村を舞台に、不倫の恋に燃える人妻の業を描く。製作はアンソニー・ハヴェロック・アラン、監督は「アラビアのロレンス」「ドクトル・ジバゴ」のデイヴィッド・リーンで、他のオリジナル脚本のロバート・ボルトや撮影のフレデリック・A・ヤング、音楽のモーリス・ジャール、編集のノーマン・サベージ等は両作品の時と同じスタッフである。出演は「秘密の儀式」のロバート・ミッチャム、「遥かなる戦場」のトレヴァー・ハワード、「召使」のサラ・マイルズ、「さよならを言わないで」のクリストファー・ジョーンズ、「ふたりだけの窓」のジョン・ミルズ、その他レオ・マッカーン、バリー・フォスターなど。メトロカラー、スーパー・パナビジョン七〇ミリ。

1970年製作/195分/イギリス
原題:Ryan's Daughter
配給:MGM

ストーリー

一九一六年、反英蜂起が失敗して間もないアイルランドでは独立運動の戦士達がドイツから武器を密輸入して再び蜂起せんとしていた。ダブリンから大平洋海岸の寒村キラリーへ帰って来た教師チャールズ(R・ミッチャム)はロージー・ライアン(S・マイルズ)の迎えを受ける。彼はかねがね彼女を愛していた。しかし、年齢や男やもめの身を考え心を押さえていたのだったが、彼女の激しい愛情に迎えられては、日頃のたしなみも忘れて応ぜずにいれなかった。これを見ていた村の変わり者マイケル(J・ミルズ)は人知れずロージーを愛していたので言いようのない寂しさに襲われる。二人はコリンズ神父(T・ハワード)の手で結婚式を挙げ、ロージーの父トム(L・マッカーン)は盛大なパーティーを催した。人々の祝福にもかかわらず、彼等の結婚は初夜からつまずいた。チャールズは新妻の激しい求愛についていけなかったのだ。他の点では申し分ない夫だけにロージーの悲しみは大きく、それを紛らわすかのように忙しく立ち働くのだったが、コリンズ神父に感付かれ、その物足りなさを告白してしまう。そしてチャールズと正面衝突してしまう。そんな彼女の前に第一次大戦で足を負傷した戦士ランドルフ(C・ジョーンズ)がキラリーに近い英軍守備隊の指揮官として赴任してきた。足が悪く惨めな思いをしていたマイケルは喜び、彼と接近する。或る日、ランドルフはロージーの働く居酒屋に入り、突然、戦場後遺症の痙攣に襲われる。ロージーはかいがいしく介抱した。戦争で傷ついた心と満たされぬ心が相寄り彼等は木立の中の陽当りの良い場所で愛し合う。マイケルが見ていた。チャールズは帰って来た妻の衣服の乱れに気付き、問い質すが妻は欺き通した。ロージーの不義は続いた。チャールズは妻の態度の変化に不信を抱くが、不貞の行為など考えてもみなかった。が、来るべき時が来た。生徒を連れて浜に出た時、二人の足跡が岸の洞窟を往復していたのだ。彼は深い苦しみに襲われ、自分はロージーに相応しいかを自問する。同じく洞窟の中でランドルフのボタンを見つけたマイケルは、独特の突飛な方法で、この不倫な関係を吹聴して廻った。ロージーは姦婦として村人の視線を浴びる。一ヶ月後、独立運動の闘士ティム(B・フォスター)は同志と共に武器を積んでキラリー沖に着くが、海は猛烈なしけで、ロージーの父ライアンの力をかりて陸上輸送に切り替える。だが、軍の前にランドルフの一隊が立ちはだかり、失敗してしまう。密告は僅かな金につられたライアンだった。この事件は、ランドルフへの村人の憎悪を燃え立たせた。ここに赴任して来て、落ち着いたかにみえた彼の心のバランスは、崩れ出す。そして、ロージーとの情事をチャールズに見られてしまった。忍耐強いチャールズも流石に我慢ならず、悶々とした心を抱き、二日も家に帰らなかった。小さな村のことで彼の動向は皆の注視を集めた。ロージーも日頃は温厚な彼を思うと気持も察せられ心が痛んだ。村人達はティム等を裏切ったのはロージーに違いないと至極、常識的に判断し、彼女をリンチ裁判にかける。彼女は父の犯行だと判っていたが自ら罪をかぶる覚悟を決めた。着物を剥がれ、頭をそられるロージーを見てチャールズが庇い身代わりとなり、リンチを受ける。が、コリンズ神父が現われて蛮行は中止させられた。あくる日、海岸をうろついていたマイケルは、一人しゃがみこんで海を見つめるランドルフを見付けた。彼は再び、ロージーを知る以前の男--西部戦線の亡霊--に戻っていた。そして自殺して果てた。一方、ロージーから身を引こうと決心しつつもチャールズの、彼女に対する愛は変わらなかったが、破局はとうに来ていた。二人はいまわしい村人達の視線を欺く為、仲の良い夫婦を装って村を去ろうとしていた。が、装いが装いでなくなる日は、さ程、遠からぬことであるに違いない。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第43回 アカデミー賞(1971年)

受賞

助演男優賞 ジョン・ミルズ
撮影賞 フレディ・ヤング

ノミネート

女優賞 サラ・マイルズ
音響賞  

第28回 ゴールデングローブ賞(1971年)

受賞

最優秀助演男優賞 ジョン・ミルズ

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) サラ・マイルズ
最優秀助演男優賞 トレバー・ハワード
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映画レビュー

4.0主役は海岸線

2022年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

萌える

イギリス軍は大陸ではドイツと拮抗し、アイルランドでは独立派をおさえ込む。アイルランドの独立派は軍備は手薄だが、ここにドイツの軍備が密輸されたら大変だ。そんな中ドイツとの戦争で心と体をやられた青年将校は、英雄としてアイルランドの田舎の守備隊に転属になる。そして村の学校の先生と年の差婚をしていた若奥さんと不倫する。

アイルランドの海沿いの村の自然が雄大です。特に海岸線。登る朝日、沈む夕日、時に怪物となって押し寄せる波。
登場人物の現実感が非常に高い。人物像のコントラストがちょうど良い。もちろん各人物の演技力はハンパない。
自然と人物の融合。映画の質感がすごく良い。
この映画を一言で言えば、総合的に良くできた映画です。ありきたりですが。
映画とは総合芸術だと気づかせてくれる映画。

今週の気付いた事:人間は愚かであるが故に気高く強く美しい。

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ほとはら

4.0イギリス人はスノッブ!

kossyさん
2021年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

4.5【愚かしくも、愛しきアイルランドの人々が、懸命に生きる姿を描いた作品。多用な見方が出来る懐深い作品でもある。】

NOBUさん
2020年6月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

-舞台は英独戦争が背景にあるので、第一次世界大戦中の英国支配下のアイルランドの田舎であろうか。-

・ ローズ(サラ・マイルズ)は憧れていた教師チャールズ(ロバート・ミッチャム)と結ばれるが、何不自由ない生活が、どこか満たされない。
-彼女が、浜辺に残されたチャールズの足跡の上に自らの足を置きながら歩く姿と、後半、チャールズがローズとドリアン少佐の足跡を見るシーンの対比は印象的である。彼女の姿はアイルランドの哀しい歴史に縛られずに生きようとする新しき価値観を持った人の象徴であろうか。大きな代償は負うことになるが・・。-

・そこに、英独戦争の英雄だが、心理的ダメージを負っているドリアン少佐が赴任して来てローズと恋に落ちる。
-二人の森の中での逢瀬が幻想的な美しさである。ローズの深紅のネッカチーフ、上着と森の鮮やかな緑のコントラストが鮮烈。今作品は海岸の波打ち際の風景も印象的である。ドリアン少佐の退廃的な表情は何を物語っているのであろうか?-

・アイルランド独立のために、密かに武器を集めるゲリラ達を暴風雨の中、手助けするアイルランドの人々。だが、ゲリラ達はドリアン少佐率いる英国軍に捕まり、彼らの怒りは少佐と恋に落ちたローズに向けられる。
-暴風雨の中、海から武器を引き上げるシーンは圧巻である。
又、ローズがドリアン少佐と恋に落ちた事を皆に知らしめてしまう無垢でローズを長年想うマイケルの仕草も、印象的である。-

ドリアン少佐が心の病のため、自ら爆死した後、チャールズとローズは人々の罵声の中、村を出る・・・。
-マイケルはここでも、狂言回し的役割を果たす。又、数少ない知的人物として描かれるコリンズ神父の"分からない・・"と去り行く二人が乗るバスを見ながら言う言葉も心に染みる。-

〈冒頭からラストまで、狂言回しの様に描かれる知的障害があるマイケル(ジョン・ミルズ)の姿がローズの父親、ライアンを始め劇中登場する愚かしくも、愛しき人々を表していると思った作品。多様な見方が出来る作品でもある。〉

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NOBU

5.0妖精(小人)になった ジョン・ミルズ

2019年4月1日
Androidアプリから投稿

アイルランドに赴任した 聖パトリックは宣教師なのに、アイルランド人(古代ケルト人の末裔)の土着宗教を 否定しなかったので、土着の神々が 小人や妖精として、そこに生き残った、と言われている

マイケル(ミルズ)が 多分、そう
そして彼の存在と アイルランドの雄大な風景が、
この映画を 叙事詩のようにしている

沼地で花を集めるマイケルとランドルフの出会い
酒場で 彼の心の傷に気が付き、怯える、マイケル
自然と戯れる、マイケル
二人の不倫を察知して 驚く、マイケル
(そして 無邪気に周知させてしまう… )
ランドルフの終焉を導く、マイケル…

物語の端々に登場する 自然と一体化したような
マイケルの不思議な存在感に、心を奪われてしまう
妖精(小人)を演じてしまった、ジョン・ミルズ、
名演である

ロージーは アイルランドの閉塞感を、ランドルフは英国の疲弊を 表しているのだろうか?
(第一次世界大戦に 勝利しそうだが、アイルランド紛争が 勃発しそうな気配)
英国の 長期に渡る、アイルランドへの搾取は 凄まじく、プロテスタントのカトリックへの「弾圧」の意味もある
でも、アイルランド人は それを捨てず、貧窮を選び 憎悪を募らせるのである

比較的豊かな ロージーが、安穏と(周囲には そう見える)プロテスタントの 英国将校と「不倫の恋」をすることは「英雄の死」の原因を 邪推させ、彼等の怒りの 導火線に火を着ける

トム・ライアンは ただの凡人である
日和見主義者なのだろう
アリバイ作りには、成功したが
火の粉は娘に降りかかる
(演劇性も アイルランド人の特徴であるらしい… )

総てを理解した ロージーだが、マイケルの存在まで、理解したのだろうか?
(そして ランドルフは わかったのだろうか?)

エメラルド島とも呼ばれる 島の美しさをカメラが余すところなく映し出す
(ため息… )
豊かではないが、雄大な自然と 妖精と アイルランド人特有の激情と魂が、この国から芸術家を産み出す 不思議
神父(トレバー・ハワード)と 妖精(小人)が 一緒にいる不思議
モーリス・ジャールの音楽も 明るくもなく暗くもなく 時に転調(?)するみたいなのも、 この不思議さを 物語っているよう
名作だと 思う

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jarinkochie
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