諏訪敦彦監督、岡田利規が感銘した特殊効果の使用は「子どもたちの影響大」
2018年1月10日 14:00

[映画.com ニュース] ヌーベルバーグを代表する俳優ジャン=ピエール・レオ主演作「ライオンは今夜死ぬ」のメガホンをとった諏訪敦彦監督が1月9日、Apple銀座で行われたイベント「Perspectives」に出席。演劇ユニット「チェルフィッチュ」主宰の岡田利規氏を相手に、今作に関するトークを繰り広げた。
仏日合作「ライオンは今夜死ぬ」は、南仏コート・ダジュールを舞台に、老俳優が洋館で出会った子どもたちと共に映画を作り、心を通わせていく物語。10代の頃は「ラストエンペラー」(ベルナルド・ベルトルッチ監督)といった作品に衝撃を受けて、映画監督に憧れを抱いていた岡田氏。「映画にはフレームがとらえているもののほかに、映っていないものがある。それを存在するという形にもできるし、存在しないということにもできる」と前置きし、同作には「その表現を使用したいくつかの素晴らしいシーンがある」と語った。その言葉を受けて、諏訪監督は「映画というのは、フレームの外に世界が存在していると確信してしまうんですよ。信じられているからこそ、裏切ることもできる」と補足していた。
さらに「映画は『ここに世界がある』ということを強く信じさせてしまう。一方、演劇は世界に没入していきつつ、半分は『これは現実ではない』と覚醒した感覚で見れますよね。理想的に言うと、スクリーンがとらえている世界だけを信じるんじゃないという気持ちがあるんです。完全に信じないものにしたい」と語った諏訪監督。岡田氏が感銘を受けた特殊効果について話題が及ぶと「僕の映画はカメラの“映る”という原初的な機能を大事にしている」と話しつつ「その機能が薄れるわけではなかったので抵抗はなかった」という。
劇中での特殊効果の使い方が「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)に共通する魅力があると称賛されると、諏訪監督は「『これはやらない』というこだわりがほとんどなくなった」と告白。そのきっかけのひとつが、映画製作ワークショップ「こども映画教室」などで触れ合った子どもたちの存在だ。「関わった初期の頃は、彼らが忍者や刑事といったモチーフを出すのが残念に思っていたんです。こっちが見たい映画ではなかった。でも、ある時点で『こういうものが見たい』と思うだけではなくて、段々と『それもいいじゃないか』と感じるようになったんです。『ライオンは今夜死ぬ』では、今までやってこなかったことを結構やっているんですけど、むしろそのことがとても楽しかった」と影響を明かしていた。
本作でも語られる幽霊という存在を、自身の近作にも登場させている岡田氏が「簡略的に言えば、幽霊とは過去が現在化したもの。演劇を作るための道具としてはすごく便利なんです」と説明すると、諏訪監督は「僕が登場させたきっかけは、ジャン=ピエール・レオなんです」と告白。「彼はかなり特殊な存在。やっていることは演技なのだけど、その世界を信じられるような演技じゃない。『そんな人、いる? いや、いません』という感じ。彼が存在できる映画の世界は、とても限られていると思う。全てを壊してしまう破壊力を持った人だから、釣り合うのは幽霊くらいしかいない(笑)」と話していた。
「ライオンは今夜死ぬ」は、1月20日からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開。
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