マーベル映画を1兆円シリーズにした社長「ベストなアイデアが常に勝つようにしたい」
2017年11月8日 09:00

[映画.com ニュース] マーベル・スタジオの最新作「マイティ・ソー バトルロイヤル」(現在公開中)が全米ランキング、国内ランキングともに首位発進。世界最速でシリーズ累計全世界興行収入が1兆円を突破し、破竹の勢いを誇る同スタジオの社長で、全作のプロデュースを手がけるケビン・ファイギが、成功の秘訣を米ロサンゼルスで映画.comに語った。
アベンジャーズの一員としても活躍する雷神ソーを主人公にしたシリーズ第3弾は、コメディテイストへと一気に路線変更したが、「キャラクターの新しいバージョンを見せることは大切」と不安はなかったことを明かす。「常に変化して観客を驚かせることが重要」であり、「コミックのキャラクターたちは50年、60年と存在してきた。いつも変化、適応することで、長く生き残ってきたんだ。僕たちは映画の中でそれをやりたいんだ」と、コミックでの成功例が念頭にあるようだ。
同スタジオの17作目にあたる本作は「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」への“序章”としての役割もあるが、監督にアドリブや即興演技を重視するタイカ・ワイティティを起用し、ソー役のクリス・ヘムズワースや、ハルク/ブルース・バナー役のマーク・ラファロの提案・希望も積極的に採用した。「いつも長期的なプランはあるけれど、古いアイデアよりもいいアイデアが出てきたら、僕らは新しいほうを使う。そのために、その後の出来事などを変える必要が生じれば、後の出来事を変更する。ベストなアイデアが常に勝つようにしたいんだ」。
最高のアイデアを優先する姿勢は、マーベル・シネマティック・ユニバース第1弾「アイアンマン」(2008)から変わらないという。「皆さんにお見せする直前まで、編集し変更を加え続ける」と断言し、2018年4月の公開に向け現在ポストプロダクションの真っ最中にある『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』さえも「必要とあらばストーリーを変更できる」とフレキシブルな体勢を明かす。
そんな柔軟な対応と長期プランを両立させるために欠かせないのが、フィルムメーカーたちとの「密接なコミュニケーション」だ。監督たちと良好な関係を築くために契約前にミーティングの機会を多く持ち、いざ製作が始まれば撮影現場や編集室に毎日のように顔を出すと言う。「フィルムメーカーたちに求めるのは、僕らのアイデアを使い、それらをもっとよくすること」「彼らのユニークなビジョンをスクリーンに描いてもらうこと」だと明確し、「そういったコラボレーションを楽しんでくれるフィルムメーカーたちを見つけることに関して恵まれていた」と振り返る。

2018年には、スタジオ第1弾「アイアンマン」公開から10周年を迎える。当初は1年に2本製作する計画でスタートし、1本だけの年もあれば、公開作のない年もあった。それが、今年はソニー・ピクチャーズと共同製作の「スパイダーマン ホームカミング」を含めた3作品、18年も「ブラックパンサー」「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」「アントマン・アンド・ザ・ワスプ(原題)」の3作品が控えている。
「この数年の間にチームは大きくなった。それでもまだ、ハリウッドの他のスタジオに比べたら相対的に小さいチームだ。でも、年に3本の映画を扱えることがわかった。多分、今後も毎年3本ずつ製作していくだろう」。シリーズの本数が増えたことで1年間の製作本数を増やす必要に迫られたが、今年公開の3作品はいずれも全米オープニング全米興収1億ドル超えの大ヒットスタートを記録し、まさに飛ぶ鳥落とす勢いだ。
現在44歳、ハリウッドきっての敏腕プロデューサーとなったファイギだが、10年前に思い描いていたビジョンが実現できたのだろうか? 「1作目の『アイアンマン』が『アベンジャーズ』の大きな部分となることに、多くの夢を抱いていた。『アベンジャーズ』の間に抱いた、『インフィニティ・ウォー』のサノスを描くという夢は、いま形になっている。これだけ多くの夢が実現したのはアメイジングなこと。でも、僕らにはまだまだ夢やアイデアがある。だからエキサイティングなんだ」。そして、自ら「次の10年はどうなるかな?」と期待をあおる。
「僕らはいま、『アベンジャーズ4』の仕上げに取り組んでいる。22作品の映画を共有する、前例のない超大作だ。でも眠りに就くときには、『僕らにはさらに10年分の夢がある』という夢を見るんだ(笑)」。
大ヒット連発のファイギの手腕と野望のもと、マーベル・スタジオは今後も無敗記録を伸ばし続けるだろう。

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