町山智浩&平山夢明&高橋ヨシキ、全米ヒット作「ゲット・アウト」最速上映で熱論!
2017年9月19日 15:00
[映画.com ニュース] 「パラノーマル・アクティビティ」シリーズや「ザ・ギフト」「スプリット」を手がける敏腕プロデューサー、ジェイソン・ブラムが製作を務めたスマッシュヒット作「ゲット・アウト」が9月17日、東京・浅草で開催された第10回したまちコメディ映画祭で日本最速上映された。映画評論家の町山智浩氏、ホラー作家・平山夢明氏、アートディレクター・映画ライターの高橋ヨシキ氏が駆けつけ、濃いトークを繰り広げた。
アメリカのお笑いコンビ“キー&ピール”のジョーダン・ピールが監督デビューを果たし、全米週末興行ランキング初登場第1位、全世界興行収入2億5200万ドル超、米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では99%(いずれも9月19日時点)を獲得したスリラー。ニューヨークに暮らす黒人の写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、白人の恋人ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招待される。謎めいた黒人の使用人、庭を猛スピードで走り去る管理人、パーティに招待されたのは白人ばかりという状況に違和感を覚えたクリスは、ある黒人の若者を撮影した瞬間に急に襲いかかられ、恐怖のあまりローズと共に実家から逃げ出そうとする。
町山氏は「スターが出ているわけでもないのに、今年1番もうかった映画だ!」と本作が起こしたブームを称えつつ、ピール監督について「(未公開のコメディ)『キアヌ』などにもジョーダン・ピールは出演していて、特にテレビシリーズの『FARGO/ファーゴ』は最高だよ!」と演技力についても絶賛した。
町山氏はさらに、本作を楽しむ豆知識を披露。家政婦がアイスティーを注ぐシーンについて「アイスティーはアメリカ南部独特の飲み物なんです。カリフォルニアでは飲まないんですよ。アイスティーを出すことで、ここは南部なんですよっていうことを示唆している。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』でも南部出身の議員に対してアイスティーのギャグを言うシーンがあるんだけど、日本人にはわかんねえよ!」とジョーク交じりに語ったほか、「高級住宅地は黒人が住むだけで追い出そうとするんだよね。高級住宅地の何がメリットかというと、“メキシコ系の人や黒人がいないよ”っていうのが1番の売りなんだけど、それははっきり言わない」解説した。加えて、「ラストは別バージョンもあって、試写にかけてマズいってことになったんだよね」と暴露し、観客を驚かせた。
平山氏は「とんちが効いていて、面白かった。お笑いをやる人は、ホラーもうまいよね。笑いのツボの火力をちょっと上げるとホラーになるんだよ。最初の監督作品で、真面目に作っている。時間を計ってもらうとわかるけど、(脚本の基本である)三幕構成がしっかりしているんだよね。相当彼は頑張ったんじゃないの?」と監督のセンスを評価。高橋氏は「『トワイライト・ゾーン』みたいなノリですよね、不思議な感じもあるし」とネタバレを避けつつ、作品が持つ独自のカラーについて言及した。
「ゲット・アウト」は、10月27日から全国公開。
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