「メッセージ」の円形文字はどこまでリアル?言語のプロに聞いてみた!
2017年5月25日 13:30

[映画.com ニュース]「ブレードランナー 2049」(10月27日公開)も控えるドゥニ・ビルヌーブ監督が手がけ、第89回アカデミー賞で8部門にノミネートされた「メッセージ」(公開中)で言語アドバイザーを務めたカナダ・マギル大学言語学部のジェシカ・クーン准教授が、劇中のキーとなる表意文字(意味を形で表す文字の集まり)について語った。
米作家テッド・チャン氏の短編小説「あなたの人生の物語」を、エイミー・アダムス、ジェレミー・レナー、フォレスト・ウィテカーの共演で映画化。言語学者のルイーズ(アダムス)が、巨大な飛行体でやってきた知的生命体「ヘプタポッド」とコンタクトを図り、地球を訪れた目的を探っていく。米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」では93%(5月24日時点)の好評価を記録している。
表意文字というのは、文字の1つひとつに意味があり、数字や漢字、絵文字などがそれに当たる。対して、ひらがなやカタカナ、アルファベットなどは文字の1つひとつが音節を表し、組み合わせによって意味を成す“表音文字”となる。ヘプタポッドは、人類とのコミュニケーションに円状の表意文字を用いているが、クーン氏は「架空の言語でありながら、一貫性がとてもしっかりしている」と絶賛しつつ「(『スター・トレック』や『アバター』に登場する架空の言語)クリンゴン語やナヴィ語のように、直接現地に行って学べるものではないのです」とこれまでに架空の言語が登場した映画と本作の違いについて解説する。
表意文字が何を示しているのか解読するプロセスが丁寧に描かれているのも本作の特徴だが、アダムスの役作りにも貢献したクーン氏は「具体的なものから始めて、行動、そしてより複雑な構造へとだんだんと積み上げていくというのが、共通の接触言語が存在しない単一言語を研究するフィールドワークで言語学者が行うことです。もし“彼ら”のような地球外生命体が本当に地球へやってきたとき、私たち言語学者がやるべきこともルイーズと同じものになると思いますよ」とリアリティに胸を張る。
ビルヌーブ監督は、表意文字のデザインについて「恐ろしいともいえるような印象的な言語にしたかった。だから、人間の言語にちょっとでも関連づけられそうなものにはしたくなかったよ」と語っているほか、来日時のイベントで「実は、日本のデザイン、筆や禅的なものに影響を受けているんだ。ヘプタポッドに強い存在感を抱いていて、僕にとってそれは禅に通じるものだったから」と明かしている。辞書まで作られる徹底ぶりだったそうで、ビルヌーブ監督の強いこだわりがうかがえる。
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