板谷由夏「マンチェスター・バイ・ザ・シー」脚本力に敬服「役者は読んで震えたのでは」
2017年4月25日 14:00

[映画.com ニュース] 第89回アカデミー賞で主演男優賞と脚本賞に輝いた「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のトークイベントが4月24日、東京・渋谷のユーロライブで開催され、女優・板谷由夏が映画コメンテーターの有村昆とともに作品の魅力を語った。
「グレートウォール」が公開中のマット・デイモンが製作を手がけ、「インターステラー」のケイシー・アフレックと「マリリン 7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズが共演したヒューマンドラマ。ボストン郊外で便利屋として生計を立てる男リー(アフレック)が故郷に舞い戻り、16歳の甥(おい)の面倒を見ながら過去の悲劇と向かい合っていく。「ギャング・オブ・ニューヨーク」の脚本家ケネス・ロナーガンがメガホンをとり、各地の映画賞で227部門ノミネート、108部門受賞を記録した。
板谷は「最近見た映画の中で、こんなにも心のひだに寄り添っているものはない。監督の才能プラス脚本が素晴らしい。役者たちは脚本を読んだ時点で震えたのでは。シーンのパズルの組み立てが完璧。“脚本力”ですよね」と熱っぽく語る。さらに、「どうしてこんなに心のひだの機微を描けるんだろう。どのシーンにも入り込めるし、普通の傷を負った人たちみんなに寄り添える。この中に私がいてもおかしくないと思える。役者が(登場人物として物語の中に)生きているかどうかなんでしょうね」と考察。「人生の重さを分かっている大人たちが出てくるけれど、どこかにユーモアがあるから見てほしい」と呼びかけた。
板谷のトークに聞き入っていた有村は「“すき間”があるのがいい。冒頭、リーが雪をかいているだけなのにあのやるせなさ。最初は、なぜリーが落ち込んでいるのかわからないんですが、回想劇でわかっていく。その回想劇の入れ方も、僕らもこういう風にふっと思い出すよなと思える」と演出の妙を称賛。「この映画に関しては、見た目でなく中身で役作りしている」と持論を述べ、「ミシェル・ウィリアムズは、(元婚約者)ヒース・レジャーを亡くした喪失感が出ているのではないか。ケイシー・アフレックも(監督作の)『容疑者、ホアキン・フェニックス』でハリウッドから長い間干されていた。俳優たちのバックボーンもキャスティングにあるかもしれない」との考えを示した。
「マンチェスター・バイ・ザ・シー」は、5月13日から全国公開。
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