エドワード・ズウィック監督が明かす、「ジャック・リーチャー」の進化点
2016年11月18日 12:00

[映画.com ニュース] 元米軍秘密捜査官が活躍するヒット作「アウトロー」の続編「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」(公開中)を引っさげ、主演俳優トム・クルーズと共に来日したエドワード・ズウィック監督が、本作での“挑戦”を語った。
軍を離れて以来、身分証明書や携帯電話、車など一切を持たず、着の身着のまま各地を放浪するジャック・リーチャー(クルーズ)が、スパイ嫌疑をかけられた元同僚ターナー少佐(コビー・スマルダース)の潔白を晴らそうと奔走するさまを描く。「アベンジャーズ」のマリア・ヒル役で注目されたスマルダースの参戦によって本シリーズの売りであるリアルアクションはパワーアップし、米軍内にうごめく闇の勢力との対決劇、リーチャーの娘と噂される少女サマンサ(ダニカ・ヤロシュ)を軸にした親子のドラマなど、前作とはひと味違った魅力が詰まっている。
ズウィック監督は、クルーズとの初仕事となった「ラスト サムライ」はもとより、「グローリー(1989)」「レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い」「戦火の勇気」「ブラッド・ダイヤモンド」といった作品群でキャラクターの人間性を深く掘り下げ、手腕を発揮してきた。本作では、プロデューサーも務めるクルーズのラブコールを受けて約13年ぶりに再タッグ。「トムと久しぶりに組んだけれど、熱意やエネルギーは全く変わっていなかったね。トムはハードワーカーだから、一緒に仕事をする僕たちも頑張らないといけない。週末にリハーサルをしたり、夜中に一生懸命脚本をリライトしたりというのは、言葉にせずとも求められることだ」とクルーズの仕事ぶりに関して言及。さらに、「私ならではの個性や感性を出すことを求められていたので、それを念頭に置きながら作っていたよ」と製作者に全幅の信頼を置き自由を与えるクルーズの懐の深さに感謝を述べた。
ズウィック監督が参加したことでシリーズには新たな“色”が加味されたが、その最大の変化は一匹狼だったリーチャーがターナー、サマンサといった女性陣に振り回されること。向かうところ敵なしの戦闘力を誇るにもかかわらず、年端のいかない少女にあしらわれ、軍人気質の後輩に食ってかかられる姿は、リーチャーのキャラクターにさらなる広がりを与えた。「僕自身、キャラクターが自分も想像していないことをしてしまっているというストーリーにとても興味をひかれるんだ。本作のジャック・リーチャーはこれまで同様に人間関係を持たないようにして生きているにもかかわらず、娘かもしれない女の子や、かつての自分と同じ仕事に就いている女性と“疑似家族”の一部にならざるを得なくなってしまう。ジャックは肉体的なことならなんでもござれだが、こういった心の問題、疑似家族のような関係を持ったときにどうしていいかわからなくなるんだ。そこに物語の面白みがあると思う」。
アクション自体も、高所から車の上に飛び降りる、車の窓越しに相手をなぐり飛ばすなど、より“痛み”を感じ取られる仕上がりに。ズウィック監督は「まさにそれが意図したことなんだ」と大きくうなずき「もしキャラクターの感情をリアルに伝えたいならば、アクションも同様に作りこんで、痛みを感じられるものにしなければならない」と語る。「マーシャルアーツ系の作品だと、1つひとつの攻撃が華麗すぎて当たっているのかいないのかよくわからなかったりするよね。本作では逆に、パンチ1つ、キック1つに意味を持たせるアクションにしたかった。より荒々しい形でアクションを見せることで、キャラクターの感情も同時に伝わるんじゃないかと考えたんだけど、どうかな?」と観客の反応に興味津々のズウィック監督からは、本作における確固たる自信がにじみ出ていた。
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