神山健治監督版「攻殻機動隊」草薙素子のキャラ造形は押井守版からどう変化したのか
2016年11月5日 20:10

[映画.com ニュース] 神山健治監督が11月5日、東京・新宿区の早稲田大学で行われたトークイベント「キャラプロ!」に出席した。代表作となったテレビアニメ「攻殻機動隊」シリーズや最新作「ひるね姫 知らないワタシの物語」のキャラクター造形について語った。
押井守監督が手がけた劇場アニメ「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」が高い注目を集めた後、テレビアニメ化が決定。その大役を任された神山監督は、公安9課のリーダー・草薙素子のキャラクター造形に苦心したという。「漫画の草薙素子は明るいし破天荒。逆に押井監督が作った草薙素子は、原作のように笑わないし個人主義で、漫画とは全然違うキャラクター。でも押井監督の映画で認知した方も多い。テレビシリーズではどちらを取るべきか悩んだ」と明かした。
「映画版と原作漫画の中間をとりつつ、テレビシリーズに毎回付き合っていくキャラクターにするにはどうしたらいいのか」と悩んでいた神山監督は、アフレコで素子の人物像を押井版から大きく変える、ある試みを行った。「アフレコの第1話を録った時に(素子役の)声優の田中敦子さんに、『(押井版よりも)15歳若く演じてください』と言いました。公安の仕事に飽きて、スリルや個人的な欲求がないとなかなか動かない感じだったのを、仕事に飽きてないキャラクターにしましょうと。そうしないと26話対峙していくことができないのではないかと思った」と告白。司会から「仕事に飽きているって面白いですね」と指摘されると、「多分押井さんが映画作りに飽きていたんですね(笑)。本人に自覚があったかわからないですが、出るものなんですよ。どういう作品でも監督のメンタルって避けられない。キャラクターや設定に出ちゃうんです」と振り返った。
最新作「ひるね姫」は、2020年の東京オリンピックが2日後に迫った日本が舞台。父親と2人で岡山で暮らす女子高生・ココネは、ところかまわず昼寝をしてしまい、いつも同じ夢を見ていた。見る度にリアルになっていくその夢は、やがてココネの知らない家族の秘密につながっていく。
キャラ造形に苦心した過去作に反し、「ひるね姫」の制作は全く異なる方向性からスタートしたという。神山監督は「物語の推進力になっていく設定から作品を作っていって、そのなかに登場するキャラクターはどういう風にすればいいかって。後からキャラクターが生まれていったパターンですね」と説明。さらに「ココネちゃんっていう名前は、脚本の第1稿の時は違う名前でした」「設定を吟味していく流れのなかで、『その名前だと特殊すぎない?』って。僕は気に入ってたんですけど、ちょっとキラキラネームだったんですよ」という秘話も飛び出した。
「ひるね姫 知らないワタシの物語」は、2017年3月18日から全国公開。
フォトギャラリー
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
人生にぶっ刺さる一本
【すべての瞬間が魂に突き刺さる】どうしようもなく心が動き、打ち震えるほどの体験が待っている
提供:ディズニー
ブルーボーイ事件
【日本で実際に起きた“衝撃事件”を映画化】鑑賞後、あなたは“幸せ”の本当の意味を知る――
提供:KDDI
プレデター バッドランド
【ヤバすぎる世界へようこそ】“最弱”ד下半身を失ったアンドロイド”=非常識なまでの“面白さと感動”
提供:ディズニー
あまりにも凄すぎた
【“日本の暗部”に切り込んだ圧倒的衝撃作】これはフィクションかノンフィクションか?
提供:アニモプロデュース
盤上の向日葵
【「国宝」の次に観るべき極上日本映画に…】本作を推す! 壮絶な演技対決、至極のミステリー、圧巻ラスト
提供:松竹
てっぺんの向こうにあなたがいる
【世界が絶賛の日本映画、ついに公開】“胸に響く感動”に賞賛続々…きっとあなたの“大切な1本”になる
提供:キノフィルムズ