オダギリジョー、主演映画初日に不在も前向きメッセージ「舞台挨拶の在り方に新たな光を…」
2016年9月17日 16:37

[映画.com ニュース] 夭折の作家・佐藤泰志氏の小説を山下敦弘監督が映画化した「オーバー・フェンス」が9月17日、全国33スクリーンで初日を迎え、出演の蒼井優、松田翔太、山下監督らがメイン館の東京・テアトル新宿で舞台挨拶を行った。
主演のオダギリジョーは現在、キューバで阪本順治監督の「エルネスト」の撮影中のため欠席。代わりに等身大パネルを満島真之介が持ってステージ中央に置くと会場から笑いがもれたが、提案した松田は「劇中の写真で、4Kで撮ったから大丈夫だろうと思っていたら画質が粗すぎた」とイメージと違い苦笑いだ。
そのオダギリからは“おわび”の手紙が届き、松田が代読。「公開初日に主演がいないというのは聞いたことがない。まさに前代未聞の状況で謝ることしかできませんが、この事態を良くとらえようとするならば、ある意味マンネリ化していた初日舞台挨拶の在り方に新たな光を差したのかもしれません」という前向き!?なメッセージに登壇者は爆笑。松田も、「皆さんが笑ってくれたので、(オダギリも)うれしがっているはず」と満足げに話した。
それでも作品に対しては、「腑(ふ)に落ちない時があって、何となく楽しい撮影という感じだったけれど、完成したものを見てすごく衝撃を与えられた。出て良かったし、少しずつ俳優として成長しているのかなと感じられた」と手応え十分の様子。蒼井も、「私は小さな幸せの話が好きで、オダギリさんの主演としての立ち位置の取り方などいろんなことを教えてくれた作品です」と感慨深げに話した。
そして、「この映画に対して、私たちは手元のカードを出してしまい、できることはもうない状態。見てくださった皆さんが、そのカードをどう受け取ってもらえるか。脅迫じみていますけれど、このパネルのクオリティーを見ても分かる通り、予算がないんです。お力を貸してください」と訴えると、会場は温かい笑いと拍手に包まれた。
10月の韓国・プサン国際映画祭をはじめアジアを中心に海外からも引き合いが多く、山下監督は「映画としての力はあると思っている。海外の方がもしかしたらストレートに伝わるかもしれない。まずは、韓国の反応を楽しみたい」と期待。「『海炭市叙景』『そこのみにて光輝く』があったからこそ、『オーバー・フェンス』がこのタイミングで撮れた。個人的にも特別な作品になりました」と、同じ佐藤氏の小説を映画化した大阪芸術大学の先輩の熊切和嘉、同期の呉美保両監督に感謝していた。
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