名匠クロード・ルルーシュ、新作「アンナとアントワーヌ」に「50年間の私の思いを盛り込んだ」
2016年9月2日 10:00
[映画.com ニュース] 「男と女」で知られる、仏名匠クロード・ルルーシュ監督と、作曲家フランシス・レイが再びタッグを組んだ新作「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲(プレリュード)」が9月3日公開する。お互いパートナーのいるフランス人の男女が偶然インドで出会い、何かに導かれるように恋に落ちていく、大人の愛を描いた物語だ。ルルーシュ監督が「50年間の私の思いを盛り込んだ」と話す今作と人生について語った。
1966年自費で製作し、カンヌ映画祭グランプリを獲得した出世作「男と女」から、愛をテーマにした数々の作品を発表してきた。
「愛は人間にとって、一番の関心事だ。ラブストーリーほど満足感を味わえるものはないと同時に不快なものもない。つまり愛というのは混沌としたものであるがゆえに、驚くべき展開となる可能性があるんだ。事実、愛はこの映画の唯一のテーマだ。愛に限界はない。誰かが誰かを深く愛していても、別の人間を好きになることもあるということを描きたかった。私にとって愛とは、あらがうことのできない麻薬のようなものだ。私の作品や私の人生でも女性たちが重要な役割を担ってきたが、彼女たちのおかげで、今の私がある。これはいつも言っていることだが、成功した男というのは女たちが作っているんだ」
今作では、生きる世界の異なるフランス人の男女がインドを旅し、恋に落ちていく。「アーティスト」(11)で、カンヌ映画祭や米アカデミー賞の主演男優賞を受賞したジャン・デュジャルダンが人生を謳歌する映画音楽家のアントワーヌ、ベテラン女優エルザ・ジルベルスタインが、フランス大使夫人のアンナを演じる。
「我々は常日頃、楽な方法を取りがちだが、本当に突然ひらめいたんだ。このカップルはかなり変り者で、普通じゃないことが、すごくいいアイデアのように思えたわけだ。恋人紹介所は、共通の趣味を元に相手を紹介するが、それが原因でトラブルになるのかもしれない。共通の趣味だと、お互いに同じことをするから、退屈してしまう。だが相補性というのはすごく強い。ジャンとエルザの出会いも似たところがある。2人はかなり違っているからね。何もかもが不合理で、いつものように道理が通らないインドのような国で、映画の中での2人の唯一の共通点は、フランス人だということだけだ」
「アンナの役柄は、男のあらゆる悪い部分を持つこの見知らぬ男を魅了する。様々なことが彼女を悩ませかねないのだが、そのことがより魅力的に見えるんだ。相手はタフガイの生き残りのような男。そもそも彼は何よりも、自分のことと仕事のことしか考えていない。典型的な自己中心的な男だ。そんな彼がアンナに出会い、インドという土地柄が彼を変えていく。あそこほど逆境を受け入れている場所はない。ねたみというものがほとんどない土地だ。だから他の人間に目が行ってしまう。あの国は何が最も大事で尊いことなのかを教えてくれる。それはつまり度量の深さと正直さだ。これが出会いを引き起こすコンテクストだ」
50年以上のキャリアを振り返り、「私が愛してやまないことが2つある。それは人生と映画だ」と断言する。
「映画が私に人々が人生を謳歌できるようなものを作らせてくれる。この世の怖さを痛いほど分かっていても、私は世界を愛している。だから多くの人にも愛してほしいんだ。ネガティブなものがポジティブなものより、重要になってきている世の中に私たちは生きている。悪いニュースがいいニュースを凌駕している世の中で、映画を作るたびに、どうしたら人々がこの世の中を、より好きになってくれるかを考えてきた。私は映画の持つ力が人の心を2時間で変えられると信じている」
「私は人生を賭けて、俳優や脚本やカメラを解放するよう努めてきた。そしてこの映画には、50年間の私の思いを盛り込んだ。テクノロジーがそれを可能にしたんだ。この年になって世界チャンピオン戦のリングに返り咲くことができるとは思っていなかった。だが自分のデビュー作のように、存分に楽しんで作ったことは確かだ」と結んだ。
「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲」は9月3日からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開。
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