無差別殺傷犯の人物像は実在の事件を参考に 「葛城事件」死刑囚・葛城稔の特別映像
2016年6月3日 20:00

[映画.com ニュース] 劇団「THE SHAMPOO HAT」を率いる赤堀雅秋が、「その夜の侍」(2012)に続き自身が手がけた舞台を映画化した「葛城事件」の特別映像が、公開された。若葉竜也演じる無差別殺傷犯・葛城稔に焦点を当てている。
映画は、次男の稔が無差別殺傷事件を起こし、ある家族が崩壊に至るまでの道のりをたどっていく。理想の家族像への思いが強すぎるあまり家族に威圧的に接する葛城清(三浦友和)、清に支配されるがままの生活を送る妻・伸子(南果歩)、リストラされたことを打ち明けられない長男・保(新井浩文)、清になじられ鬱屈した思いをくすぶらせる稔の関係が徐々にゆがんでいき、やがて伸子が家出をしたことから家族に危機が訪れる。田中麗奈が、死刑制度反対の立場から稔と獄中結婚する星野を演じる。
13年に上演された舞台版の脚本は、01年に起きた無差別殺傷事件「附属池田小事件」をモチーフに書かれていたが、映画版の製作に当たり赤堀監督は新たに「土浦連続殺傷事件」「秋葉原通り魔事件」「池袋通り魔殺人事件」など、近年起きたさまざまな事件を参考にしたという。それぞれの事件の犯人像や公判の傍聴記録、事件を起こすに至った背景、家族像などを調べ上げ、稔を生まれながらのサイコパス(反社会的人格障害者)として描いた舞台版とは異なり、強権的な父親の元で育ったがために屈折してしまった人間として構築していった。
公開された映像には、葛城家を舞台にした稔と家族のやり取りと、死刑囚となった稔が刑務所で星野と面会するシーンが収められている。保に「お前早く仕事見つけな?」と哀れみのこもった目で見つめられて「俺のこと見下してんじゃねえよ!」と激高する姿や、星野に「花とかフルーツとか持ってこられてもあんまりうれしくない。少しでも俺にマシな生活をさせたかったらこれからは金にして」「缶コーヒーは甘いのでいいって言ってるんだよ。ちゃんと覚えろよ!」などと当たり散らす様子が描かれている。「もしも役が演じられなかったら、劇場まで監督を刺しに行きます」と直訴するほど役を熱望し、オーディションで稔役を勝ち取った若葉は「撮影時の記憶があまりない」と語るほど役になりきっていたという。
「葛城事件」は、6月18日から全国公開。
(C)2016「葛城事件」製作委員会
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