カンヌで浅野忠信、深田晃司監督らに満場のスタンディングオベーション
2016年5月17日 10:00

[映画.com ニュース] カンヌ映画祭の開催4日目を迎えた5月14日(現地時間)、ある視点部門に選ばれた深田晃司監督の「淵に立つ」が上映され、満場のスタンディングオベーションを浴びた。カンヌ初参加となった深田監督と、キャストの浅野忠信、古舘寛治、筒井真理子は上映後、感動の面持ちで日本の報道陣を迎えた。
深田監督は、「今回最高の形でこの作品を披露することができました。カンヌを通過してきた監督たちに憧れて自分もこれまでやってきたので、とてもうれしいです」とコメント。昨年同部門に選ばれた「岸辺の旅」に続き、2年連続参加となった浅野は、「今回は撮影が始まってからもずっと緊張を緩められないような役柄だったので、長い闘いがこうして実ってとてもうれしいです。好き勝手に演じさせてもらったのを、監督は辛抱強く見守ってくれ、こういう形に仕上げて頂いて、自分にとっても大きな一歩だと感じています」と語った。深田監督同様、カンヌ初参加となった筒井と古舘はそれぞれ、「いつかカンヌに来たいと思っていたのでとてもうれしい。まだふわふわしています(笑)」「まさか自分の人生のなかでカンヌに来られる日が来ると思わなかった。生きているとこういうこともあるんだな、と思いました」と笑顔で語った。
深田監督は、2013年に「ほとりの朔子」がフランスのナント三大陸映画祭でグランプリとヤング審査賞をダブル受賞し、フランスの批評家からすでに注目を浴びている存在だ。全国紙のル・モンドには「怒れる監督」と見出しを載せ、「今のところ同部門におけるもっとも驚きの作品。『ほとりの朔子』で、批評的な視点から日本を描いた彼は、今回も同様の怒りをもって、見る者を強く動揺させるような、ぎくしゃくとした、乾いたメロドラマを描いた」と評価した。
カンヌ初参加の日本の監督がここまで注目されることはあまりないものの、深田監督は、「僕が尊敬している監督たちは、誰一人としてカンヌがゴールだと思ってはいないはず。今後も地道にこつこつとやっていきたいと思っています」と、揺るぎない面持ちで抱負を語った。
同部門では他に、地元フランスのステファニー・ディ・ジウストの初長編作、「The Dancer」も好評価を得た。今回のカンヌで審査員を務めるバネッサ・パラディを母に、ジョニー・デップを父に持つリリー=ローズ・デップと、シンガーとしても知られるフランスの女優ソコの共演ということでも注目集めていた本作は、天才的ダンサー、イサドラ・ダンカン(L・R・デップ)の出現によって短命なキャリアを余儀なくされた不出世のダンサー、ロイス・フュラー(ソコ)の半生を、幻想的なダンス・シーンも織り交ぜて鮮烈に描き、強い印象を残した。レッドカーペットでは、いまだ16歳と思えない落ち着きと、母親譲りの小悪魔的な雰囲気を備えたリリー=ローズ・デップが、カメラマンのフラッシュをさかんに浴びていた。(佐藤久理子)
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