渡辺謙「追憶の森」で初共演のマシュー・マコノヒーは「自分と似ているタイプの俳優」
2016年4月27日 12:00
[映画.com ニュース] 「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」(1997)、「ミルク」(08)などで知られるガス・バン・サント監督がメガホンをとった「追憶の森」のプレミアが4月26日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、出演した渡辺謙が登壇したほか、主演マシュー・マコノヒーがビデオメッセージを寄せた。
舞台は、富士山麓に広がる青木ヶ原樹海。心に深い傷を負い、人生を終わらせようと樹海を訪れたアメリカ人アーサー(マシュー・マコノヒー)は、樹海から抜け出そうとさまよう日本人タクミ(渡辺)と出会う。2人は樹海で過ごすうちに仲を深めていき、やがてアーサーは樹海への旅を決意させた自分の過去を語り始める。
渡辺は、初共演となるマコノヒーについて「似ているタイプの俳優。準備はするけれど、そこで生まれるものに対して的確に拾って返す。(共演中)お互いにプロの仕事をしているなと感じた」と真面目な口調で振り返った。だが、マコノヒーは映像内で「あんなにユーモアがあるとは」「舞台で一緒にミュージカルをやろう」「お孫さんが生まれるんだってね」「渋谷でも撮影したんだけど、僕に気づいてくれたのは300人中1人くらい。これがケン(渡辺)だったら、299人が気づいただろうね」と渡辺をいじり倒し、ブロードウェイミュージカル「王様と私」の再演を終えたばかりで、本作でも歌声を披露している渡辺に歌をリクエストした。
終始ご機嫌のマコノヒーに「映画の話をしようよ!」と苦笑した渡辺は、「撮影中に『この後はミュージカルに出演する』と言ったら(マコノヒーに)『マジかよ』みたいな顔をされた」と苦笑い。来日中には「マシューはテキサス出身だから、肉を食わせようと焼肉屋に連れて行った」と仲むつまじいエピソードを披露した。
本作の脚本を受け取った際には、東日本大震災直後でもあり「どうやって死を受け止めるのか」を描いた作品への出演にためらいがあったという。そんな折、バン・サント監督がメガホンをとることになり「シリアスながら、メルヘンかつセンチメンタルな作品にしてくれるだろうと思ってお受けした」と明かした。日本人キャストとして、青木ヶ原樹海の神社の文字から立て看板の監修まで積極的に携わり、世界観の構築にも尽力した渡辺は、「人はどこに安住の地があるんだろうと悩み続けるような時代に差し掛かっている。そのなかで一瞬足を止めて、今自分がいる場所や、誰が自分を支えてくれているのかを確認するための映画。とにかく、『よかったよ』と一言伝えてもらえると幸せです」と締めくくった。