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ファスビンダーが多層世界を描いた幻のSF「あやつり糸の世界」予告編

2016年1月30日 10:00

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「あやつり糸の世界」の一場面
「あやつり糸の世界」の一場面
(C)1973 WDR (C)2010 Rainer Werner Fassbinder Foundation der restaurierten Fassung

[映画.com ニュース]ニュージャーマンシネマの鬼才ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督が1973年に発表したSF作品で、3月に初の劇場公開を迎える「あやつり糸の世界」予告編を映画.comが入手した。「マトリックス」より四半世紀も早く、バーチャル世界を描いた画期的な作品で、予告編では突然意識を失う登場人物や、鏡や電子音などで人工的な世界を表現したレトロフューチャーな映像が切り取られ、本編への期待が高まる。

ファスビンダーは、原作のダニエル・F・ガロイの小説「模造世界」の構造を丁寧に解きほぐし、バーチャルリアリティによる多層世界を通し、人間の根源的な意識や感情についての表出の可能性を探った。16ミリフィルムで撮影され、2010年に作成されたデジタルニューマスター版で公開される。「アルファビル」(1965)、「華氏451」(1966)、「2001 年宇宙の旅」(1968)、「惑星ソラリス」(1972)といった作家主義的SF映画の系譜に位置づけられる作品だ。

仮想世界を作り出し、未来社会を予測可能にする「シミュラクロン」の開発を進める未来研究所。謎の死を遂げたフォルマー教授の後任として研究主任の座に就いたシュティラー博士は、ある日、保安課長のラウゼが忽然と姿を消し、エーデルケルンという別の人物が保安課長になっていることに気付く。実験のため自らシミュラクロンの仮想世界に入ったシュティラーは、そこで消えたはずのラウゼの姿を見かける。

あやつり糸の世界」は3月5日、ユーロスペースほか全国順次公開。


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