「ブラック・スキャンダル」J・エドガートンが役者として勇気付けられた人物とは?
2016年1月20日 11:00

[映画.com ニュース] 実在の犯罪王ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーの半生を軸に、バルジャーとFBIの黒い関係を描く「ブラック・スキャンダル」に出演したジョエル・エドガートンが、インタビューに応じた。
映画は、米ボストンで活動していたギャングのバルジャー(ジョニー・デップ)が、幼なじみでFBI捜査官ジョン・コノリー(エドガートン)の情報屋になったことから力をつけ、やがて弟で政治家のビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)を巻き込み、暴走していくさまを描く。
「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012)や「華麗なるギャツビー」(13)などで知られるエドガートンが本作で演じたのは、かつては故郷から悪を一掃しようと使命感に燃えていたが、利用するはずのバルジャーに取り込まれ、自らも欲におぼれて転落していく男。複雑な演技が要求される難役を丹念に演じたエドガートンは「ジョンは二面性があり、とても利己的で野心的。俳優としてこのキャラクターを演じることにわくわくした」と語りながらも、相手によって顔を演じ分けるコノリー役には苦労が絶えなかったと明かす。「厄介だったのは、彼が映画の中でずっとうそをついてることだ。どの時点からジョンのうそが説得力を欠いていくか、毎日自問していたよ。冒頭で彼をいい人すぎないように演じると同時に、平面的な『単なる悪人』としてだけ演じないようにするのも大変だった」。
俳優としては勝負どころともいえるが、敬愛する“兄貴分”のデップの演技が、エドガートンに大きな刺激を与えた。「ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが、僕が役者として生きていく自信をつけてくれた。ジョニーは本当にキャラクターに変身してしまうから、共演していて驚嘆するよ。外見だけでなく、静かな危険さを感じさせる演技でバルジャーになりきってしまった」。エドガートンは、デップの魅力が集約されているシーンとして、コノリーの家を訪れたバルジャーが、部屋にこもっているコノリーの妻の様子を見に行くシーンを挙げる。「あのシーンはものすごく居心地が悪くて、ベストシーンの1つだし、ジョニーのこれまでのキャリアの中でも、また映画史としても突出している」。
年齢も近く刺激を与え合っているというカンバーバッチも含め、共演者に恵まれたエドガートンはボストンなまりもマスターし、デップに負けず劣らずのなりきりぶりを披露。米国を震かんさせた一大スキャンダルとあって、コノリーのインタビュー映像など、本人を演じるための“教材”は数多くあったというが、公平な目を保つためにあえて本人に会いに行くことはしなかったという。その代わり、関係者への取材は欠かさなかった。「僕が会ったFBIのある捜査官が、ジョンを“クジャク”と形容したんだ。クジャクはカラフルで派手で、誇りと自信があるように見える。それがジョンにとって大切な言葉だと思った」。
その言葉を念頭に役作りを進めたエドガートンは、コノリーの人物像を「偉大な警察とみなされるためにはゆがんだことをしてもいいという野望を持っていたと思う」と考察。それだけでなく、コノリーの仲間意識の強さも重要な要素だった。「ジェームズは地元では賞賛された犯罪者で、ロックスターみたいな存在だった。だから、ジェームズを捕まえるよりも、彼との関係や憧憬(どうけい)の方がジョンにとっては重要だったんだ」。演じ終えた今でもコノリーへの興味は尽きないようで「ジョンの本当の考えをいつか解明できたら面白い」と意気込んでいた。
「ブラック・スキャンダル」は、1月30日から全国公開。
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