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橋口亮輔監督、「あんたならやれる」淀川長治さんの言葉胸に7年ぶり新作「恋人たち」お披露目

2015年10月28日 23:30

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橋口亮輔監督
橋口亮輔監督

[映画.com ニュース] 橋口亮輔監督の7年ぶりの新作「恋人たち」が10月28日、第28回東京国際映画祭の「Japan Now」部門でお披露目された。

自身のワークショップのメンバーによる映画製作として企画がスタートし、まずはタイトルを決定。だが、「いくつかのエピソードによる恋愛の群像にしようと思ったら、0から始めなきゃいけないと思って途方に暮れた。結局、脚本に8カ月もかかってしまい、メンバーは詐欺られたんじゃないか思ったかもしれない」と苦笑いで振り返った。

結果、通り魔に妻を殺された橋りょう点検員、平凡な生活に嫌気がさしている主婦、親友への思いに苦悶する同性愛者の弁護士の3人を主役に据え、それぞれが人生に希望を見いだそうともがく姿をつむいだ。周を光石研リリー・フランキーらベテランが固めており、「8割方がワークショップのメンバーで、中にはずぶの素人もいる。その子らが下手と言われたら失敗なので、皆が同じ世界に生きているようにバランスをとるのが大変だった」と説明した。

1992年の監督デビュー作「二十才の微熱」では、映画評論家の故淀川長治さんに「ファーストシーンを見て傑作と思ったけれど、後がダメ。あんたには根性がない」と酷評されたという。だが、直後に「1回映画を選んだのなら、最後までやりなさい。あんたならできる」と薫陶を受けた。

橋口監督は、「僕にとっての財産。(前作の)『ぐるりのこと。』の後でバカバカしいと思ったこともあったけれど、その言葉で気持ちをくくり直したことが何度もある」と、亡き心の師に感謝。そして、「自分の中にあるモチーフを100%出す。そして今の日本の空気を見せることを意識した。肉体の欠損は見えやすいけれど、心の欠落は見えない。そういうやりきれない思いを描いた」と自信のほどをうかがわせていた。

恋人たち」は11月14日から東京・テアトル新宿ほかで全国順次公開。第28回東京国際映画祭は10月31日まで開催される。

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