井上真行監督「なけもしないくせに」アップ、“今撮らずにはいられなかった”
2015年7月18日 16:15

[映画.com ニュース] 2009年「一秒の温度」でPFFアワードグランプリと観客賞をダブル受賞し、14年「正しく忘れる」が劇場公開された井上真行監督の最新作「なけもしないくせに」の撮影が、梅雨前線や台風発生の影響を受けながらも7月10日にロケ地の愛知県蒲郡市で無事にクランクアップした。
作品は、映画や演劇、俳優養成の専門学校、ENBUゼミナール主催のシネマプロジェクト第5弾。東日本大震災から数年が経ち、地方都市に住む新しい孤立を感じている人々と、東京オリンピック開催決定で沸き立つニッポンの現実を対比して描くロードムービー。キャストは、ドラマ「安堂ロイド」や映画「マエストロ!」に出演の池田大、舞台・映画で活動する品田誠、大根仁監督「バクマン。」にも出演している岡部たかしに加え、徳納敬子、尾中琴美、三枝翠、加藤理恵らが出演する。
井上監督は、「震災から2年くらい経った頃に“風化”について考えだした。被災地は何となく“復興”して元に戻りつつあるみたいなふうにみんな思っているけど、果たしてそうなのか? 大衆が思っていること、本音みたいなものを今撮らずにはいられなかった」と自身で企画し、シナリオを書き上げた想いを語る。震災後に数多く制作されたいわゆる“震災もの”映画とは一線を画す作品となるようだ。
これまで自身が抱える葛藤を掘り下げるような作品を手がけてきた井上監督だが、「結局、人間の内面を描きたいんだと思う。ただ、内面だけをえぐりたいわけではなくて、見てもらうための面白い設定は作りつつ、内側から湧き上がってくるものをどう表現するか。わかり合えない壁みたいなものを何とか壊せないか、そこを追及して撮っていきたい」とし、映画を撮ることは自分自身との戦いでもあるとした。
プロデューサーを務めたENBUゼミナールの市橋浩治代表は、「井上監督が伝えたいメッセージが企画・シナリオの中に流れていて、今回はそこに反応して参加してくれた人たちが多かった。蒲郡の商工会議所の方々にも本当にお世話になった。笑えて感情移入できるところもあるので、いろんな映画祭への出品を目指しつつ、できるだけ多くの人に見てもらいたい」と、9月末の完成を目指している。
12年にスタートしたシネマプロジェクトは、第1弾で市井昌秀監督「あの女はやめとけ」と吉田浩太監督「オチキ」、第2弾では金井純一監督「モーメント」と今泉力哉監督「サッドティー」、第3弾では天野千尋監督「うるう年の少女」と川村清人監督「夜があけたら」、佐々木友紀監督「夏前。おわり」を製作。東京はもちろん全国の劇場で注目を集め、海外映画祭での上映や、東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門出品作に選ばれるなど、次々と意欲的な作品を生み出している。現在、第4弾となる頃安祐良監督作品、平波亘監督作品の制作も進行中。
なお「なけもしないくせに」は、国内最大級のクラウドファンディング・プラットフォーム「MotionGallery(モーションギャラリー)」で、海外を含む映画祭出品や劇場公開へつなげる支援金を7月31日まで募っており、現在目標金額の50%を突破した。
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