三木孝浩監督が明かす「くちびるに歌を」は“女優・新垣結衣のターニングポイント”
2015年7月10日 08:30
[映画.com ニュース] アンジェラ・アキの名曲「手紙 ~拝啓 十五の君へ~」をモチーフにしたベストセラー小説の映画化で、新垣結衣が初の教師役に挑んだ「くちびるに歌を」のブルーレイ&DVDが、9月2日に発売される。本作のメガホンをとり、「この映画が自分にとってもひとつの分岐点となった」と語る三木孝浩監督に話を聞いた。
アンジェラ・アキが長崎県五島列島の中学校を訪れるドキュメンタリーを基に、中田永一が書き下ろした青春小説を映画化。島の合唱部員の生徒たちと元ピアニストの臨時音楽教師の交流、成長を描く。劇場公開時には各地の舞台挨拶で合唱が披露され、生徒たちのみずみずしい演技や合唱シーンへの称賛が多く寄せられた。改めて映画を振り返ってみると、生徒たちを“大人の視点”で導く柏木先生を演じた新垣の、これまでとは違った表情、魅力が強く印象に残る。
「陽だまりの彼女」「ホットロード」ほか、多くの作品で主演女優の魅力を最大限に引き出してきた三木監督だが、本作の新垣は「今までいわば笑顔が可愛い“アイドル女優”のように受け止められることがあったけど、この映画は女優・新垣結衣にとってのターニングポイントになればと思いました。自分がデビューした頃と同じ10代半ばの生徒たちと向き合うことで、かつての自分を見てほしかったし、この先どう進んでいくかを映画の中で感じ取ってほしいとも思った」と評す。そして「芝居を超えて、観客にとっても柏木先生を通じて、新垣結衣の成長をドキュメンタリーで見ているような感覚で見てもらいたかったんです」。
三木監督はまた、青春映画、恋愛映画の名手とも称される。「これまでの恋愛映画では、僕自身が若い頃に『こうだったらいいな』と思っていた恋愛やシチュエーションの“妄想”を映画にしていた」と種を明かし、「今回に関しては、ダイレクトに15歳の頃の自分の経験をそのまま反映させています。そこに、大人になった“いま”の視点も柏木先生を通して入っている」と、今作に込めた真意を語った。
ミュージックビデオ出身の監督というと「エッジの利いた表現」や「独特の映像表現」が特徴とされることが多いが、そんな中でも三木監督は、映像のみならず、繊細な心理や感情の表現が独自の世界観を形作っていると高い支持を集めている。「完成されていないもの、不完全なものにひかれるんです。言葉にできないものを映像に散りばめたい」と語り、強く影響を受けた作品として、「時をかける少女(1983)」ほか大林宣彦監督の青春映画を挙げた。
「自分が映画や映像を好きになったきっかけは、音楽と映像がマッチした瞬間の心揺さぶられるような体験なんです。『時かけ』でも一番グッと心をつかまれたのは、実は映画本編ではなく(笑)、あの時をかける瞬間のシーンと主題歌が一緒になったCMだったりするんです」と振り返った三木監督。「自分が作る上でも、音楽と映像が記憶とリンクするような瞬間を求めているのかも。この映画でも合唱や練習風景、オープニング、柏木が手紙を読んで、車を運転する表情とか、自分で気に入っているシーンは印象的に音楽を乗せているんです」と明かした。
「くちびるに歌を」ブルーレイ&DVDは、9月2日発売。
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