世界配給も決定済み!北斎の娘を演じた杏、長編アニメ「百日紅」を語る
2015年5月8日 22:10
[映画.com ニュース] 女優の杏が、原恵一監督作「百日紅 Miss HOKUSAI」でアニメ声優に初挑戦し、浮世絵師・葛飾北斎の娘で同じく浮世絵師として活躍したお栄を演じている。「江戸時代に女性として自立し、しかもクリエイティブな才能を発揮した希有な存在。真面目で不器用、素朴な強さを兼ね備えた女性」と演じた本人が語るお栄像は、現在、女優として幅広いジャンルで飛躍する杏自身に重なる。歴史愛好家として、本作が描く江戸の魅力にも大いに感化されたという。
映画は浮世絵師として父と同じ道を歩むお栄が、仲間たちとともに自由闊達(かったつ)なアート道を突き進む姿を、江戸の四季を通して映し出す。原作は、江戸風俗研究家で文筆家、漫画家の故杉浦日向子氏による漫画。「河童のクゥと夏休み」「カラフル」などで国際的な評価を得ているアニメーション作家・原監督がメガホンをとった。杏はかねて、杉浦氏の大ファンだといい「その目で江戸を見たかのように描く筆の力を感じる」と語る。
すでにフランス、イギリス、ベルギーなど欧州6カ国での配給が決定している。「北斎という名前はもちろん、浮世絵は日本の美術史においても群を抜いて注目されている分野。ぜひ、この作品を通して、北斎やその娘であるお栄が生み出す浮世絵の背景になった生きざまや暮らしぶり……生の感情を感じ取ってほしいですね。ふたりが質素な家屋で作品づくりに勤しむ姿も、新鮮に映るのではないでしょうか。澄んだ海や川、星空も江戸の魅力です」。
江戸を生きた人々の矜持と原監督の作家性に「共通点を感じる」といい、「幕末から明治初期に訪日した外国人の旅行記を読むと、江戸の大人たちが真剣に遊ぶ姿に驚がくしているんですね。つまり、遊び=子どもという認識を持っていた。今も海外では、アニメ=子ども向けという印象が強いと聞きますが、原監督の作品は、大人に向けてまっすぐ作られている。自分が目指す表現を手加減せず、具現化している監督だと思います」と分析した。
映画「百日紅 Miss HOKUSAI」は、5月9日から東京・TOHOシネマズ日本橋、テアトル新宿ほか全国で公開。
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