神田沙也加×リラ・クロフォード 「イントゥ・ザ・ウッズ」日米赤ずきん対談が実現
2015年3月14日 17:30
[映画.com ニュース]「アナと雪の女王」「マレフィセント」でおとぎ話に新たな命を吹き込んだディズニーの最新作が、ブロードウェイミュージカルを映画化した「イントゥ・ザ・ウッズ」だ。人間の深層心理の象徴でもある“森”を舞台に、赤ずきん、シンデレラ、ラプンツェルなど、誰もが知るヒロインたちの「ハッピーエンドのその後」をシニカルな視点で描き、再びファンタジーの刷新に挑んだ本作。公開を記念し、11年前に宮本亜門演出の同名舞台で赤ずきんを演じた神田沙也加、来日した赤ずきん役のリラ・クロフォードとの日米赤ずきん対談が実現した。(取材・文・写真/内田涼)
本作の宣伝ナビゲーターに就任した神田にとって、17歳のときに立った舞台版「INTO THE WOODS」はミュージカルデビュー作であり、待望の映画化には「ただただ懐かしい」と感無量の面持ちだ。ただ、当時はデビュー間もなく「芸能界で自分の居場所を確立させなくちゃいけないという焦りの気持ちが強かったですね。いわゆる肩書もはっきりしていなかった状況で、混乱し疲弊していました」と振り返る。
演技、歌唱、ダンスと総合力が求められるミュージカルが、10代の神田に多くの課題を強いたのは想像に難くないが「その分、宮本さんのもとで学んだ経験は、今の私の糧になっていて、はっきり『私の強みです』と言える。具体的には応用力がついたと思います。あれから、もう11年も経つんですね……。あの頃は、今も歌手や女優を続けていられるなんて思っていなかったから、こういう形で『イントゥ・ザ・ウッズ』に再会できるのは嬉しい限りです」と誇らしげだ。
一方、現在14歳のクロフォードにとって、本作「イントゥ・ザ・ウッズ」は映画デビュー作となった。銀幕では新人だが、舞台では2011年にミュージカル「リトル・ダンサー」でブロードウェイ・デビューを飾り、翌年には5000人の候補者から「アニー」の主役に抜てきされるという輝かしいキャリアを誇っている。
第87回アカデミー賞で助演女優賞にノミネートされた魔女役のメリル・ストリープをはじめ、オオカミ役のジョニー・デップや若手実力派女優のアナ・ケンドリックなど、豪華スターとの共演も体験。特殊メイクで変身したデップ相手に繰り広げる“駆け引き”のシーンは、映画の大きな見どころになっている。「大スターであるはずなのに、エゴを見せたりせず、常に謙虚でプロフェッショナルに徹する。私がこんな言い方するのは変かもしれないけど……、地に足がついているって思ったわ。一緒にいるだけで学ぶことがたくさんあったし、私にとってはいいお手本。それに映画の現場は舞台とはまるで違うから、この経験が将来に生かせればいいなって思うわ」(クロフォード)
「イントゥ・ザ・ウッズ」が描く登場人物は皆、自分の“願い”をかなえようと、危険に満ちた森に足を踏み入れる。王子がもたらす奇跡を待つのではなく、生い茂った枝や根っこを自力でかき分け、幸せをつかもうとするヒロイン像は「アナと雪の女王」から受け継ぐ、ディズニーからのメッセージだ。
「おとぎ話の主人公なのに、とても人間らしくて不完全。みんな、自分の未来を構築する上で、どんな選択をすべきか悩んでいて、そういう意味では“自立と成長”を描いた作品だと思いますね。それに年齢を重ねたことで、キャラクターに対する解釈が深まったことにも気づきました。昔は好奇心旺盛な赤ずきんが好きだったけど、今は幸せを探すシンデレラや、葛藤を抱える魔女のほうが、胸に刺さるようになった。見る世代によって、受け取るテーマがさまざまなので、世代を問わず楽しめる作品だと思います」(神田)
「そうね、見る人によって感じ方がまったく違うという沙也加さんの意見に、私も賛成よ。映画は赤ずきんのバックグラウンドや心情がしっかり描かれていて、その分ユニークで深みがあると思うの。もちろん、ほかのキャラクターもね。例えば、お母さん世代なら、子どもを守ろうとする魔女に気持ちが動かされると思うし……。私自身、赤ずきんと同世代だから『早く大人として自立したい』っていう気持ちに共感できるわ」(クロフォード)
時空を超えて、「イントゥ・ザ・ウッズ」という作品、そして赤ずきんというキャラクターに引き寄せられたといっても過言ではない神田とクロフォード。ふたり並んで語らう姿は、まるでおとぎの国から抜け出た姉妹のようだ。「そう言ってもらえるのは、すごく嬉しいですね。こういう形でリラちゃんと出会えたことが、私にとっては宝物だし、お話していると“日米赤ずきんちゃん”で意見が一致することも多くって」(神田)、「きっと誰よりも『イントゥ・ザ・ウッズ』の赤ずきんについて、深く理解をしている人でしょ。アメリカに帰ったら『日本で沙也加っていう、とてもすてきな友だちができたの』って自慢するんだ!」(クロフォード)
PR
©2024 Disney and its related entities
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
関連コンテンツをチェック
シネマ映画.comで今すぐ見る
父親と2人で過ごした夏休みを、20年後、その時の父親と同じ年齢になった娘の視点からつづり、当時は知らなかった父親の新たな一面を見いだしていく姿を描いたヒューマンドラマ。 11歳の夏休み、思春期のソフィは、離れて暮らす31歳の父親カラムとともにトルコのひなびたリゾート地にやってきた。まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、2人は親密な時間を過ごす。20年後、当時のカラムと同じ年齢になったソフィは、その時に撮影した懐かしい映像を振り返り、大好きだった父との記憶をよみがえらてゆく。 テレビドラマ「ノーマル・ピープル」でブレイクしたポール・メスカルが愛情深くも繊細な父親カラムを演じ、第95回アカデミー主演男優賞にノミネート。ソフィ役はオーディションで選ばれた新人フランキー・コリオ。監督・脚本はこれが長編デビューとなる、スコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。
「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。
ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。
文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。
奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。
内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。