リドリー・スコット監督、高倉健さんとの思い出を語る「懐が深い人」だった
2014年12月6日 07:00
[映画.com ニュース] 巨匠リドリー・スコット監督が12月3日(現地時間)、英ロンドン中心街のレスター・スクエアで開催された、最新作「エクソダス:神と王」のワールドプレミアに出席。本プレミアとあわせて行われたインタビューで、11月10日に死去した高倉健さんについて「懐が深い人で、俳優としてもとても素晴らしい人だった」と思い出を語った。ハリウッドの映画人が高倉さんの死後、公式の場でコメントを寄せたのはスコット監督が初めてだという。
1989年の「ブラック・レイン」で高倉さんと相まみえたスコット監督は、「あるとき、僕はひどい風邪をひきながら、タバコをたくさん吸い続けていた時期があった。健さんはそんな僕に毎朝『タバコはやめた方がいい』と助言してくれた。風邪がもう6週間も続いていると知ると、『私がそれを治してみせる』と言って、翌日には漢方薬を持ってきてくれたりした。その薬を飲んだ2日後にはすっきり治ってしまったのをよく覚えている」と、高倉さんの人柄がにじみ出たエピソードを明かした。
その後も「お互いにクリスマスカードを送ったり、毎年連絡を取りあう仲だった」といい、「『ブラック・レイン』の撮影の終わりに、彼からもらった編み細工の美しいかごは今でも大事にとってあるよ。それを見るたびに“ケン・タカクラ”を思い出すんだ」と語る。「右も左もわからなかった大阪に滞在していた僕たちに、いつも親切に気持ちよく接してくれたことは、今でも忘れられない」と、故人を偲んだ。
「エクソダス:神と王」はスコット監督がクリスチャン・ベールを主演に迎え、旧約聖書の「出エジプト記」につづられたモーゼの英雄譚を映画化した2時間30分の超大作。この日のイベントで、エジプト風の装飾が施された真紅のカーペットに登場したスコット監督は、「自分の仕事が好きだ。その好きな仕事をこの年齢まで続けられて、しかもこんなプレミアをホームタウンのロンドンで行えるのはとても嬉しい」とコメントを寄せた。
モーゼ役を演じたベールも「今日はとてもいい気分だ」と上機嫌。「非常に多く人に大きな意味のある物語なので、この役を正しく演じられるかプレッシャーを感じていた」と告白する一方で、ダイナミックな作品に仕上がったことを報告。スコット監督を「本当に一切妥協がない。彼は最高の監督だ」と仰ぎ、「しかもこの映画をわずか74日で撮影した」とその手腕を強調した。同イベントには、スコット監督とベールのほか、共演のエジプト王ラムセスを演じたジョエル・エドガートンや名優ベン・キングズレー、モーゼの妻を演じたマリア・バルベルデらも出席した。
「エクソダス:神と王」は、2015年1月30日から東京・TOHOシネマズ日劇ほか全国で公開。