社会派「トガニ」後のコメディが大ヒット「怪しい彼女」ファン・ドンヒョク監督に聞く
2014年7月10日 16:20
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[映画.com ニュース] 「サニー 永遠の仲間たち」「王になった男」で注目を集めた、韓国の新星シム・ウンギョン主演の「怪しい彼女」が7月11日公開する。老婆が突然20歳の姿に戻り、若き日の夢をかなえる姿を描いたコメディだ。本国で大ヒットを記録し、日本でも第6回沖縄国際映画祭Peace部門海人賞グランプリを受賞した。メガホンをとったのは児童虐待問題を描き社会現象を巻き起こした「トガニ 幼き瞳の告発」の新鋭ファン・ドンヒョク。シリアスな前作から一転、初めてコメディに挑戦し「笑いが絶えない現場だった」と語るファン監督に話を聞いた。
不思議な写真館で若返り、憧れのオードリー・ヘプバーンをもじってオ・ドゥリと名乗るマルスンをシム・ウンギョン、70歳のマルスンをベテラン女優ナ・ムニが演じた。見た目は可憐な20歳、中身は“毒舌ばあさん”というマルスンの強烈なキャラクターから生み出される笑いが随所にちりばめられている。「前作『トガニ』は非常に重い撮影だったので、いくら現場を明るい雰囲気にしたくても撮るべきシーンのことを考えると笑うことはなかなかできませんでした。ですから今回は、明るく楽しく仕事をしたかったのです。毎日楽しく、笑いが絶えないような日もあるほどでした」と撮影の様子を振り返る。
今作は複数の女性脚本家によって執筆された脚本をファン監督が脚色。劇中では女手ひとつで息子を大学教授に育て上げたマルスンの過去も丁寧に描写し、コメディではあるが、厳しい時代を生き抜いた高齢者、そして母、祖母ら子どもを産み育ててきた女性たちを称えている。「私自身が早くに父と祖父を亡くし、実際に母と父方の祖母と一緒に暮らしてきました。ですから、母親が誇らしく思う息子や孫の立場も理解でき、自分が言いたいことをこの映画で表現できると思ったのです。私の母、祖母に見せたいと思いましたし、多くの方に共感していただける内容だったので、監督を引き受けました」と家族への個人的な思いも詰まっている。
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初稿の段階ではマルスンの夫は、ベトナム戦争で戦死したという設定になっていた。設定を変えたことについては「ベトナム戦争については韓国人はよく知っていますし、何度も映画に取り上げられています。かつて実際に韓国人は海外に外貨を稼ぎに行った時代があり、60年代に男性は炭鉱夫として、女性は看護婦としてドイツに渡ったのです。もしかすると韓国人もあまり知らないかもしれない歴史的要素を紹介するのが良いのではと思ったのです。港での出征シーンと違って撮影費もかかりませんしね」と明かす。
マルスン役の女優ふたりのほか、パク・イナン、ソン・ドンイルというベテラン勢にニューフェイスのイ・ジヌク、ジニョン(B1A4)という共演陣それぞれの魅力も引き出した。演技については俳優に一任するタイプだそう。「演じる前から、こと細かく指示を出すことはありません。キャラクターを念頭においてのキャスティングをしているので、その俳優に対する信頼があるからです」ときっぱり。シム・ウンギョンに限っては、すべてナ・ムニに合わせるようとりわけ高い要求を出したが「彼女は自分の撮影のない日でも、現場に出てきてナ・ムニの演技を見に来ていました。私と話すときも撮影前からあえて方言で、年寄りっぽく話したり、行動することを続けていました。携帯でメッセージを送るときも方言を使ってやり取りしていたんですよ」と主演女優の努力を称えた。
2作続けて商業的に成功し、いまや韓国のヒットメーカーのひとりと呼んでも過言ではない。今後は「アクションやスリラーなどさまざまなジャンルを撮ってみたい。本作を撮る前に書いていた脚本は超能力者たちの物語でした」と新境地に意欲を見せる。尊敬する監督はスティーブン・スピルバーグ監督とジェームズ・キャメロン監督。「作品はほとんど見ており、本当に素晴らしい監督たちだと思います。あんな監督になれたらいいですね」と笑顔を見せた。更なる高みを目指す新鋭の次回作にも期待したい。
「怪しい彼女」はTOHOシネマズみゆき座ほかで7月11日全国順次公開。
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