気鋭監督が結集するカナダ映画界に注目
2014年6月6日 11:01
[映画.com ニュース] ジェームズ・キャメロン、デビッド・クローネンバーグ、アトム・エゴヤン、ポール・ハギスといった才能ある監督を数多く輩出してきたカナダ映画界にいま、熱い視線が注がれている。
若手監督の筆頭株と言えばグザビエ・ドラン。「わたしはロランス」で日本でも知名度を高めたが、同作や「マイ・マザー」「胸騒ぎの恋人」と、セザール賞外国映画賞に毎回作品がノミネートされる高い評価を受けている。新作「Mommy(原題)」では、わずか25歳にして第67回カンヌ映画祭審査員賞に輝いた俊英だ。
そして、ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール主演のサスペンス「プリズナーズ」でハリウッドデビューを飾り、一躍世界的な注目を集めたのがドゥニ・ビルヌーブ監督。長編第2作「渦(2000)」がカナダの映画各賞やベルリン映画祭国際批評家連盟賞を受賞、10年の「灼熱の魂」がアカデミー賞外国語映画賞カナダ代表に選出されていたが、巧みな演出術と緊張感あふれる映像表現が「プリズナーズ」の成功によってさらに評価を高めた格好だ。
そのビルヌーブ監督の最新作「複製された男」(7月18日公開)は、ギレンホールと再びタッグを組んだミステリー。ポルトガル唯一のノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの同名小説の映画化で、ある大学講師が自分と瓜二つの人物の存在を知ってしまったことから、アイデンティティーを失っていく姿が描かれる。ギレンホールは1人2役を演じ、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニが脇を固める。
若手のドラン、中堅どころのビルヌーブ、そして息子ブランドンも映画監督デビューして話題のクローネンバーグらベテランと、各世代に充実した才能が揃ったカナダが、現在の映画界のトレンドと言えそうだ。