映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

ロジャー・コーマン、東京国際映画祭審査を総括 宣伝の充実を提言

2012年10月31日 17:00

リンクをコピーしました。
第25回東京国際映画祭コンペティション部門で 審査委員長を務めたロジャー・コーマン
第25回東京国際映画祭コンペティション部門で 審査委員長を務めたロジャー・コーマン

[映画.com ニュース]「和やかな雰囲気の中で選考ができた。主要な賞に関しては、ほぼ満場一致で決まった」。節目となる第25回東京国際映画祭のコンペティション部門で審査委員長を務めた監督・プロデューサーのロジャー・コーマンは胸を張った。フランス映画「もうひとりの息子」が最高賞の東京サクラグランプリと最優秀監督賞をダブル受賞。韓国映画「未熟な犯罪者」が審査員特別賞と最優秀男優賞の2冠と、受賞作が偏った嫌いもあるが、コーマンは「選考の基準となったのは、映画の質のみ」と揺るぎない自信をのぞかせていた。

製作・監督した作品は600本以上に上り、独立映画の神、B級映画の帝王と称される重鎮。審査員の滝田洋二郎監督も「ビッグ・ダディ」と呼んで慕う御大は、終始にこやかな笑みを浮かべながら総括した。「1000本以上の中から選ばれた15本は、それぞれの国の文化、政治的な考え、信念の違いがよく出ていた。これまで多くの映画祭で審査員を経験してきたが、これほどフレンドリーな環境で和やかな選考ができたのは初めて。選考は各賞ごとに審査員に3本ずつ順位をつけて挙げてもらったが、その3本とも一致しているくらいスムーズで、主要な賞は満場一致で決まった。こんなことは珍しい」

結果は「もうひとりの息子」と「未熟な犯罪者」が主要部門を分け合った形。両作品に共通するのは、苦難を乗り越えて希望を見いだそうとする人間の強さだ。「選考の基準はとにかく映画の品質。『もうひとりの息子』は、1948年から紛争が始まりいまだに続いているイスラエルとパレスチナの問題について、双方を平等のバランスで見せている。政治的な背景だけでなく、微妙でセンシティブな題材を扱い、葛藤の中での希望、人間は皆平等であるということを私たちに伝えてくれた。『未熟な犯罪者』も、近代においてはどの国でも問題としてある社会の一番底辺のところに生まれてしまった人々の、ほとんど希望がない状態を描きながら、ラストシーンでもしかしたら希望があるのではと感じさせてくれる作品だった」

だが、ひとつの作品に複数の賞を贈ると、国際映画祭では往々にして有力な作品が少なかったと見られる傾向がある。これに対しては、「まったく気にしていない」と断言する。「選考の基準はとにかく映画の品質。審査員同士の話し合いで、グランプリ作品の監督は素晴らしい演出をしたわけだから必然的に監督賞につながるということも決めていた。そういう意味では、満場一致だったんだ。あえて言えば、最優秀男優賞に関しては『NO』のガエル・ガルシア・ベルナルも候補だった。一番困難だったのは最優秀女優賞で、随分多くの名前が挙がっていたのは事実だ」

日本から出品された「フラッシュバックメモリーズ 3D」は観客賞を受賞。審査員の選考からは漏れたが、コーマンは「アイ・ライク・ザ・フィルム・ベリー・マッチ」と個人的に高い評価をしている。

「音楽が非常に良かった。私も年だから、もうちょっと音楽が長かったらどうかなと思ったけれど、今までああいう音楽があることを知らなかった。そして、あの楽器(ディジュリドゥ)。オーストラリアの先住民のものだそうだが、それを日本のパフォーマーが演奏しアンダーグラウンドのスターになっていく非常に面白い作品だったと思う。この作品でも、ひとつ言えることは希望。交通事故に遭ったGOMAさんがパフォーマーとしてカムバックしたのだから。そして3Dもぴったりだった、特にあの楽器が画面から突き出てくるところなんか、テクニカルな面においても背景のイメージを非常にうまく作っていた」

コーマンは、1994年の第7回大会(京都開催)でヤングシネマ・コンペティションの審査委員長を務めた。それから18年、世界における東京国際映画祭の存在をどのようにとらえているのだろうか。「あの頃に比べれば、非常に洗練された素晴らしい位置まできていると思う。作品も、いいものがたくさんあった。何かひとつ足りないとしたら宣伝。もっと世の中の人に“東京国際映画祭ここにあり”という、パブリシティをしたらいいんじゃないか」

東京国際映画祭は節目の第25回を終えた。来年からは新たなチェアマンを迎え、次のステップへと踏み出す。コーマンは総論として、国際映画祭の意義、役割について言及し締めくくった。

「映画祭は、いろいろな国の文化が紹介される、本当に品質のいい映画が集まる場。今回は賞の対象にならなかったが、個人的にはインドネシアの『ティモール島アタンブア39℃』が好きだった。なぜなら、インドネシアの映画は商業的に成功して、世界中の人が見られるものではない。映画祭だからこそ、見ることができるからだ。非常に素朴な社会の出来事を見ることができたし、国際映画祭は一方でドイツやスカンジナビア諸国の近代的な社会を描いているものもある。とりあえず思うのは、どこの映画祭であろうと一番大事なのは作品が観客を楽しませること。そして、その中から何か心に響くような感情をもたせられればいい」

フォトギャラリー

ロジャー・コーマン の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

凶悪

凶悪 NEW

死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「凶悪 ある死刑囚の告発」(新潮45編集部編)を映画化。取材のため東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤と面会した雑誌ジャーナリストの藤井は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3つの殺人に関与しており、そのすべてに「先生」と呼ばれる首謀者がいるという告白を受ける。須藤は「先生」がのうのうと生きていることが許せず、藤井に「先生」の存在を記事にして世に暴くよう依頼。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。ジャーナリストとしての使命感と狂気の間で揺れ動く藤井役を山田孝之、死刑囚・須藤をピエール瀧が演じ、「先生」役でリリー・フランキーが初の悪役に挑む。故・若松孝二監督に師事した白石和彌がメガホンをとった。

HOW TO HAVE SEX

HOW TO HAVE SEX NEW

ギリシャ・クレタ島のリゾート地を舞台に、10代の少女たちの友情や恋愛やセックスが絡み合う夏休みをいきいきと描いた青春ドラマ。 タラ、スカイ、エムの親友3人組は卒業旅行の締めくくりとして、パーティが盛んなクレタ島のリゾート地マリアへやって来る。3人の中で自分だけがバージンのタラはこの地で初体験を果たすべく焦りを募らせるが、スカイとエムはお節介な混乱を招いてばかり。バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、酒に酔ってひとりさまようタラ。やがて彼女はホテルの隣室の青年たちと出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くが……。 主人公タラ役に、ドラマ「ヴァンパイア・アカデミー」のミア・マッケンナ=ブルース。「SCRAPPER スクラッパー」などの作品で撮影監督として活躍してきたモリー・マニング・ウォーカーが長編初監督・脚本を手がけ、2023年・第76回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門グランプリをはじめ世界各地の映画祭で高く評価された。

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版

セルビアンフィルム 4Kリマスター完全版 NEW

内容のあまりの過激さに世界各国で上映の際に多くのシーンがカット、ないしは上映そのものが禁止されるなど物議をかもしたセルビア製ゴアスリラー。元ポルノ男優のミロシュは、怪しげな大作ポルノ映画への出演を依頼され、高額なギャラにひかれて話を引き受ける。ある豪邸につれていかれ、そこに現れたビクミルと名乗る謎の男から「大金持ちのクライアントの嗜好を満たす芸術的なポルノ映画が撮りたい」と諭されたミロシュは、具体的な内容の説明も聞かぬうちに契約書にサインしてしまうが……。日本では2012年にノーカット版で劇場公開。2022年には4Kデジタルリマスター化&無修正の「4Kリマスター完全版」で公開。※本作品はHD画質での配信となります。予め、ご了承くださいませ。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る