周防正行監督の最新作「終の信託」、第36回山路ふみ子映画賞を受賞
2012年10月24日 15:15
[映画.com ニュース] 周防正行監督の最新作「終の信託」が10月24日、第25回東京国際映画祭の特別招待作品として、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで公式上映され、周防監督をはじめ、「Shall we ダンス?」以来16年ぶりに共演を果たした草刈民代と役所広司が舞台挨拶に立った。10月19日に、映画賞レースの先陣を切る第36回山路ふみ子映画賞の受賞が決定。役所は「歴史と権威ある賞をいただき、とても光栄」と登壇者を代表し、感謝を述べた。
終末医療の現場を舞台に、ある重病患者(役所)からの“信託”を受けたエリート女性医師(草刈)が下した決断と、それを殺人罪とみなす検事の攻防を描くヒューマンサスペンス。役所は「自分自身がどんな最後を迎えるのか。そして誰に何をどうやって伝えるのか考えるようになった」と挨拶。劇映画への出演は16年ぶりとなる草刈も「見る人の視点によって、意見が変わるはず。深く考えさせられ、影響を与えてくれる作品」とアピールした。
原作は現役弁護士・朔立木氏の同名小説。周防監督は「原作が描くテーマ性よりも、むしろ人と人が向き合ったときに生まれる空気感を映像化したかった」といい、「終末医療や“終活”といった社会的な動きはもちろん、近年親しい人たちを亡くしている自分にとっても医療は大きな問題。ただ、映画が生まれたのは偶然の一致」と作品への思いを語った。
舞台挨拶には本作の音楽を手がける作曲家で、周防監督の従弟である周防義和氏とシンガーソングライターの種ともこが駆けつけ、映画のエンディングテーマ曲「遠く、そして近く」を生披露した。
「終の信託」は10月27日から全国で公開。