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小林政広監督「映画を撮るのをやめようと思った」3.11からの苦悩告白

2012年10月8日 18:30

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釜山国際映画祭に出席した小林政広監督
釜山国際映画祭に出席した小林政広監督

[映画.com ニュース] 小林政広監督の最新作「日本の悲劇」が10月7日(現地時間)、第17回釜山国際映画祭・アジアの風部門で上映された。年金不正受給問題を題材にした、小林監督のオリジナル脚本作。出演者は、「春との旅」でタッグを組んだ仲代達矢ほか、北村一輝寺島しのぶ大森暁美という存在感のある実力派が顔をそろえた。

2010年ごろから脚本を執筆し始めた小林監督だが、東日本大震災の発生により趣旨を変更。自らが暮らす気仙沼の自宅は被害が少なかったが、それゆえに苦悩を抱えたといい、「生き延びているものへのプレッシャーが大きくて、僕なんかが映画を撮っていていいのかと一時は映画を撮るのをやめようと思っていた」と吐露する。

主演の仲代については「今回、後姿での登場が多かったので、彼に何と言われるか少し不安だったが、試写室から出てきた彼の顔を見て作品への思いが確信になった」と自信をのぞかせる。また、初タッグとなった寺島は「数年前の毎日映画コンクールの授賞式で、初めて彼女にあった縁で出演をお願いしたが、彼女が画面に登場する途端に全てをさらっていく存在感の高さにはビックリした。彼女の演技見ちゃったたら、もうね、すごいよね」と述懐する。

同映画祭での観客の反応を「韓国の若者が、これだけ真剣に見てくれてビックリした。日本の社会に対して、とても真摯に知ろうとする気持ちが伝わってきた」と分析。意外にも釜山への参加は2度目だそうで、「韓国俳優など今後一緒に仕事をしたい人はいるか」という問いには、「興味のある韓国の俳優はたくさんいます。ソン・ガンホ、『悲しき獣』のハ・ジョンウキム・ユンソクら本当に魅力的な俳優がいる。いつか韓国で映画撮りたいですね」と今後の抱負を語った。

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