ピクサー25周年「メリダとおそろしの森」新人監督を導いた“勇気”とは?
2012年7月21日 20:00
[映画.com ニュース] 数々のオスカー受賞作を生みだすディズニー/ピクサー最新作「メリダとおそろしの森」を手がけたマーク・アンドリュース監督が来日し、取材に応じた。ストーリー監修のプロフェショナルとして「Mr.インクレディブル」(2004)、「トイ・ストーリー3」(10)などに参加。満を持しての初メガホンをとり「ヒロインを主人公に迎えるのも、中世を舞台にするのもピクサー作品としては初めての試み。完成に至るまでには、何度も勇気(brave:映画の原題)が試された」と振り返る。
舞台は中世スコットランド。自由を愛する王女メリダは、伝統と格式を重んじ結婚話を進める母・エリノア王妃に嫌気が差し、偶然出会った森の魔女に「自分の運命を変えたい」と懇願。しかし“禁断の魔法”は母親に悲劇を招いてしまい、メリダは呪いを解くための試練に立ち向かう。
「ストーリーが第一」。そんなピクサーの信条は本作にも発揮され、シナリオの完成までには「数年かかったよ。途中で大きな壁にぶち当たり、数えきれないほどのリライトが繰り返された。せっかくの草案を捨てるのは“勇気”も必要だ」(アンドリュース監督)。具体的には主人公・メリダと母親のキャラクター造形が最も高いハードルだったといい「初期の段階では、メリダは文句ばかり言う憎たらしいティーンエイジャー。王妃も母親として横暴過ぎる人物だったんだ。そこで『誰が物語の主人公なのか?』という原点に立ち返り、ふたりの関係性のバランスを調節した。その上で、メリダの反抗心とエリノアの母性愛をエンタテインメントとして伝える道筋を探ったんだ」。
しかし今回はストーリー完成がゴールではなく、監督としてのスタートラインに立つことを意味した。アンドリュース監督は「こんな経験は初めて」と前置きし、「作品に対する情熱と愛着は誰にも負けないつもり。それでも場合によっては、一歩引いた立場で作品全体を客観的に見つめる必要があった。たとえ何百人というスタッフの苦労が詰まったシーンでさえ“ボツ”にしなければならないんだ」と述懐。「それはものすごい“勇気”が必要なことだ。より良い作品を生み出すことが、監督の役目だからね」。
今年で創設25周年を迎えたピクサーは、昨年創始者であるスティーブ・ジョブズ氏が亡くなるなど、歴史の転換期に立っている。「ピクサーは創設以来、あらゆる面でアニメ界のリーダーに君臨し、アニメーションの可能性を広げながら、基準を高めてきた。他のスタジオは、ピクサーが“何か”をするのを待っているんだ。僕らを取り巻く環境が変わっても、その姿勢を崩さず前進し続けるはずさ」(アンドリュース監督)。そんな同社にとって、新人監督による“初もの尽くし”の「メリダとおそろしの森」は勇気ある一歩を踏み出した重要作といえそうだ。
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