安藤サクラと井浦新「かぞくのくに」プレミアで万感 ヤン・ヨンヒ監督は北朝鮮の家族への思い語る
2012年7月13日 09:00

[映画.com ニュース] 安藤サクラと井浦新が、在日コリアン2世の兄妹役を演じ、第62回ベルリン映画祭で国際アートシアター連盟賞を受賞した「かぞくのくに」のジャパンプレミアが7月12日、都内であり、安藤、井浦とヤン・イクチュン、ヤン・ヨンヒ監督が舞台挨拶を行った。
「愛しきソナ」などドキュメンタリー作品で知られるヤン監督が、自らの体験を題材にした初のフィクション映画。北朝鮮の「帰国事業」により、子どものころから選択の機会がない社会で生きてきた兄ソンホと、家族とともに日本に住み、自由をおう歌してきた妹のリエが25年ぶりに再会、思想や価値観の違いに戸惑いながらも、変わることのない家族の強い絆を描く。この日、第36回モントリオール世界映画祭フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門で上映されることが発表された。
監督自身がモデルであるリエを演じた安藤は、「監督の思いに応えようと必死になっていた」と述懐し、「監督は『ディア・ピョンヤン』を撮って北朝鮮に入国禁止になっているのに、さらにこの作品を撮っているんです。それって、すごい覚悟なんだと思います」と感慨深げに語った。
井浦演じるソンホは北朝鮮に住むヤン監督の3人の実兄を合わせたような役で、思い入れもひとしお。「監督の思いをひしひしと受けながら、監督をいい意味で裏切って、想像を飛び越えるような役をサクラさんとともに演じていくという、戦い続けるような15日間でした。ヤン・ヨンヒ組での15日はまさに“家族”として、この作品をみんなで作っていった感じです」と万感の面持ちで語る。
ヤン監督は「私の実体験を超える作品になったと思います。私の北にいる兄とは遠慮がある部分があったと、二人の演技を見て思い知らされました。心の中に隠している感情さえも二人が演じてくれた」と安藤、井浦の迫真の演技を絶賛。そして「家族の話をしただけで(北朝鮮に住む)家族に会えなくなる。家族の話をすればするほど家族に会えなくなるという矛盾した状況になっている。私が家族の作品をつくって文句を言えるのは、私の家族だけのはず。家族を守るために、政府公認の問題児として世界で有名にならないと家族を守れない。ヨーロッパには北朝鮮の大使館もあるので、世界中の映画祭でいろんな人に見てほしい」とユーモアを交えながら、現在の北朝鮮との関係を明かした。
北から派遣された見張り役を演じたヤン・イクチュンは「この映画で描かれているのは、この地で起こったことです。私たち韓国人にとっても悩むべき近代史であり、歴史だと思う。歴史が土台となって現在が作られているので、過去を忘れて生きることはいけないと思います。現在と過去を融合させる形で新しい未来を皆さんと作っていきたい」と観客に呼びかけた。
上映後に涙を流す観客も多く見られた。井浦は「日本で最初に見てくださったお客さんに、どんなことが心に引っかかったか、ぜひ感想を聞きたいです。役について聞きたいこと、監督に聞きたい北朝鮮の話があったらぜひ手を挙げてください」と、予定にはなかった質疑応答タイムを自ら提案。ラストシーンについてや“自由であるということ”などをテーマに舞台挨拶の終了予定時間を大幅に超えて観客との意見交換を図った。
「かぞくのくに」は8月4日からテアトル新宿、109シネマズ川崎ほかで全国順次公開。
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