セドリック・クラピッシュ監督が「フランス、幸せのメソッド」に込めた思い
2012年6月11日 14:30

[映画.com ニュース] 「スパニッシュ・アパートメント」「PARIS パリ」のセドリック・クラピッシュ監督最新作「フランス、幸せのメソッド」が、6月15日からDVDレンタルをスタートする(TSUTAYA限定)。本作が記念すべき長編劇映画第10作目となるクラピッシュ監督に、同作に込めた思いを聞いた。
市井の人々の姿をユーモアあふれる語り口で描くことで定評のあるクラピッシュ監督だが、今回は「社会に対して好戦的な映画を作る気はないが、政治問題に挑戦してみたかった」という。監督作では毎回、社会が抱える数々の現実を踏まえられているが、意外にも同作が「時事ニュースからインスピレーションを受けた」初めての作品となっている。
「私自身はケン・ローチ監督の『コミュニスト』的で人種的な同じようなアプローチを取ることはできないが、“社会問題にフォーカスする”という意味で影響を受けていると言えるよね。でも一番は、フェデリコ・フェリーニの『カビリアの夜』。この作品の主人公は2度もひどい目に遭い、その姿をジュリエッタ・マシーナがとても深く演じているんだが、そういう状況になっても観客は最後に笑えるんだ。ここから映画の構造を参考にした。それから、フランク・キャプラの『一日だけの淑女』『我が家の楽園』にも。社会問題からコメディを作るユニークな手法が参考になった」
物語は、不況に悩んで自殺を図ったシングルマザーのフランス(カリン・ビアール)が娘たちに励まされてパリに出稼ぎへ向かい、彼女を家政婦として雇い入れたバツイチのスティーブ(ジル・ルルーシュ)と、徐々に理解し合っていく姿を描くもの。フランス社会が抱える格差問題を浮き彫りにしながらも、“どんなに苦しいことがあっても、家族や仲間がいればきっと乗り切れる”というささやかな希望が描かれる。
「本作は、ポジティブな視点から現在の腹立たしい社会状況を語っているが、それは観客の“士気を高める”ためなんだ。(音楽を手掛ける)ロイック・デュリーの曲に、『世界がどこに向かうかはあなた次第……』という歌詞がある。私はこの言葉を信じているんだ。たとえ世界が問題ばかりでも、それを受け止める必要は必ずしもない。(不正に対する)反抗精神とレジスタンスを信じているんだよ。たとえ理想的で幼稚な考えだと批判されても、私は“フランスの味方”でありたいと思っているからね」
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