三根梓、脳で考えず心で演じた銀幕デビュー作への思い
2012年3月27日 17:46

[映画.com ニュース] 谷口正晃監督の最新作「シグナル 月曜日のルカ」で、新人女優・三根梓が主演に大抜てきされ銀幕デビューを果たす。佐賀出身で、都内の有名大学に通う20歳。子どもの頃から家族や友人と劇場に通い、映画に触れてきた三根が今作で演じるのは映写技師の役。第4回沖縄国際映画祭の長編プログラムPeace部門での公式上映に際し、沖縄・宜野湾入りした三根に話を聞いた。
関口尚の青春恋愛ミステリー小説を実写映画化した同作。「月曜日のルカは憂鬱なのでそっとしておく」「ルカとの恋愛は禁止」「ルカの過去について質問してはいけない」。ノスタルジックな雰囲気が漂う映画館・銀映館を舞台に、不思議な3つの約束から始まったルカと恵介(「AAA」の西島隆弘)の“ひと夏の恋”を描く。
三根は、ある事件で心に深い傷を負い、3年間にわたり映画館から一歩も外に出られなくなった映写技師の杉本ルカに扮した。メガホンをとった谷口監督から、つきっきりで演技指導を受けたそうで「発声練習や滑舌が良くなる練習、リハーサル前には大きなお芝居をすることに対する照れというか、自分の殻を破る練習もさせていただきました」と述懐。さらに、「浅草のプロの映写技師の方に弟子入りしました。目をつむってでも映写機にフィルムをかけられるくらいの手さばきを求められていたので、週に3回くらいのペースで通って、1カ月くらいかかりました」と真摯な眼差(まなざ)しで語る。
共演には、「愛のむきだし」での熱演などで俳優としても評価の高い西島、所属事務所の先輩である高良健吾という若手実力派が名を連ねる。デビュー作となる三根が、どんなに小さなアドバイスすら聞き逃すまいというほどの覚悟をもって現場入りしたことは、想像するに難くない。谷口監督からは、「頭で計算して芝居をするのではなく、気持ちでルカになることを意識するように」言われていたという。「気持ちができていれば体も自然と動くし、不自然にはならないから集中して気持ちを作りなさいとアドバイスしていただきました」
クランクイン直後は、集中していても緊張が上回ってしまうこともあったそうだが、日を追うごとにルカという役が自らの“血となり骨となっていく”ことを実感できたという。それだけに、思いもひとしおの様子で、「右も左もわからなかった私に、忙しいなかで監督や演出部の皆さんが時間を作ってくださったり、スタッフや共演の皆さんも優しく見守ってくださったから、最後まで杉本ルカを演じられました。支えてくださった方々への感謝の気持ちもありますし、だからこそ多くの方に見ていただきたいという思いがあります」と語る姿は、女優そのものだった。
「シグナル 月曜日のルカ」は、6月9日から全国で公開。
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