黒沢清監督、観客から提案された森山未來主演の時代劇に意欲
2011年11月27日 16:11
[映画.com ニュース] 「アカルイミライ」「トウキョウソナタ」の黒沢清監督が11月27日、開催中の第3回下北沢映画祭のトークゲストとして登場。これまで歩んできた道のりや映画界とのかかわりを振り返るとともに、今後の展望や、来年WOWOWで放送されるドラマで小泉今日子、蒼井優らが出演する「贖罪」についても語った。
1970年代に自主制作映画を作り始めたという黒沢監督だが、8ミリフィルムとアメリカ映画の存在に大きな影響を受けたという。「8ミリがブームになった時期で、大学で自主制作映画を撮り始めた世代です。アメリカ映画は好きでしたが、それを自分たちでそのままできるかというとやれない。そこで一種の挫折というか『何を撮ればいいのか?』と違うものを探すようになった」と明かす。
70年代から80年代の映画界について「映画をヒットさせるという感覚がほとんどなかった」と現代との違いを強調。その中で黒沢監督が深い親交があり、タイプは違えど“商業映画”を確立させていった人物として、いまは亡き伊丹十三さんと相米慎二さんの名を挙げる。「伊丹さんは自分の作品について非常に魅力的に話すことができる人でしたね」と述懐。司会者から三谷幸喜監督に通じるという指摘に「(三谷監督は)自分の作品をしっかり宣伝してヒットさせ、作り続けることができる珍しい方。いま、ああいうことができる監督は少ないですね」とうなずいた。
相米監督のヒット作「セーラー服と機関銃」で、黒沢監督は助監督を務めたが「こんなの商業映画でやっていいの? とびっくりするような作家主義丸出しの作品を撮り続けていた。『こういうやり方でいいんだ?』とあきれながらすごいと思っていました。伊丹十三と相米慎二がともに東宝系で商業映画としてやってたというすごいこと」と80~90年代に思いをはせた。
「トウキョウソナタ」以来となる新作で、「告白」の湊かなえの原作小説を連続ドラマ化した「贖罪」に関しては「自信作です」とニヤリ。「蒼井優さんはこれまで素晴らしいと思いつつ、偏見があって『やりづらい女優さんだったらどうしよう?』と思っていた(笑)。でもムチャクチャやりやすい方でした。これまで女性を描くのが苦手でしたが、初めて全く違う5人の女性を描いた」と胸を張った。
観客からの質疑応答で、監督が以前「ダンスが出来る俳優でチャンバラや忍者映画を撮ってみたい」と語っていた点に触れられ、「贖罪」にも出演する森山未來の起用を提案されると「いいかもしれない。企画を出してみようかな(笑)」と意欲を見せていた。
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