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杉野希妃、東京国際映画祭を経て“ボーダレスな映画”を目指す

2011年11月4日 14:21

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杉野希妃、映画にかける思いを語る
杉野希妃、映画にかける思いを語る
撮影:本城典子

[映画.com ニュース] 第24回東京国際映画祭・アジアの風部門で公式上映された「マジック&ロス」が、11月5日から公開される。香港のリゾート地ムイウォの謎めいた魅力によって不思議な関係に陥る男女3人の姿を描く。プロデューサーを兼ねた主演女優の杉野希妃が、映画への思いを熱く語った。

マレーシア人のリム・カーワイ監督とともに企画した今作は、「バカンス映画をアジアや多国籍でつくったら面白いのでは」という発想からスタート。大まかな筋だけを記したプロットをもとに2週間で撮影を敢行し、現場の雰囲気を見ながらセリフを加えていった。杉野のデビュー作「まぶしい一日」で共演したヤン・イクチュンキム・コッピの“「息もできない」コンビ”が出演し、「現実なのか夢なのかわからない感覚。存在のあいまいさ、“生”と“死”の境目」を体現した。

“アジアインディーズ界のミューズ”として注目を集める杉野は、「オーディションやオファーを受けて出演を決める受け身の姿勢が性に合わなくて、自分から発信する作品があっていいのではという思いから製作を始めたんです」。そして、「プロデューサー業は全部に責任を持たないといけない仕事だから大変だけれど、役者だけで参加するより実感があってやりがいがある」と意欲的な姿勢をのぞかせる。

“役者”という職業は「役者である以前に人間だから、人間性がないと演じることも役や作品の分析もできないと思うんです」と持論を展開。プロデューサーとして多くの人とかかわることで、「けんかをしたり悩んだものが蓄積されて演技でも役立っていくと思います。映画製作に携わることで、自分の人間性が鍛えられている気がする」と真しな眼差(まなざ)しで話す。

大学在学時に増村保造監督作「赤い天使」と出合い、「50〜60年代に過激で毒々しくて、だけど真っすぐな作品をつくる監督が世の中に存在したことを知って、私もそういう作品を作りたいと思ったんです」と述懐。「映像であれ、舞台であれ、何かを表現したい」という杉野は、「自分がプロデュースしない作品やドキュメンタリー的な作品にも挑戦したい」と“表現”に対して貪欲だ。日本で2人目の女性映画監督として知られる田中絹代ら往年の名女優にあこがれ、「いい演技をして自分が出る作品の監督にいつか挑戦したい。自分でつくった世界観の中で役者として表現できたら」と目を輝かせる。

深田晃司監督作「歓待」、イム・テヒョン監督作「大阪のうさぎたち」などアジア圏での活動を経て、「自分にどれくらいできるかは未知だけれど、アジアをつなげるものをつくってボーダレスになってほしいと思っています。異なった言語でも通じあえる瞬間があるので、ボーダレスで多国籍な映画をつくることができる環境を自分自身でつくっていきたい」と高い志を語った。

マジック&ロス」は、11月5日から全国で公開。

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