赤い天使

劇場公開日:

解説

有馬頼義の原作を、「ほんだら捕物帖」の笠原良三が脚色し、「陸軍中野学校」の増村保造が監督したもので、戦争を素材とした限界状況ドラマ。撮影はコンビの小林節雄。

1966年製作/95分/R/日本
原題:Red Angel
配給:大映

ストーリー

昭和十四年、西さくらは従軍看護婦として天津の陸軍病院に赴任した。その数日後、消灯の後の巡回中、彼女は数人の患者に犯されてしまった。そして、二カ月後、深県分院に転属となった彼女は、軍医岡部の指揮の下で忙しい毎日を送っていた。一つの作戦ごとに、傷病兵は何台ものトラックで運ばれてきた。大手術が毎日のように行なわれ、手術台の傍の箱には切断された手足があふれていた。そんな精神をすりへらす仕事に、岡部軍医はいつしかモルヒネを常用するようになっていた。勤務交代で天津に戻ったさくらは岡部のお蔭で生命が助かったという折原一等兵に会った。そして、哀願する折原のために、さくらはホテルの一室で全裸になった。男の機能を復活させることが、自分の使命だと思ったからだった。しかし、あくる日、折原は病院の屋上から投身自殺を遂げた。再び深県分院に戻ったさくらは、岡部がモルヒネのために不能になっていることを知り、それを治そうと一緒に寝た。さくらは岡部をいつしか愛してもいたのだった。やがて岡部は応急看護班を編成して前線にいくことになり、さくらも行動を共にした。しかし、前線を走るトラックは、まだ目的地に着かないうちに、営林鎮集落で敵の包囲を受けた。しかも、極度に衛生状態の悪い集落ではコレラが発生していた。無線機は故障していた。総ての望みを絶たれた岡部とさくらは、ある日の夜、二人きりで部屋に閉じこもった。岡部は、間もなく禁断症状を起こして暴れたが、さくらは必死になって押えつけ、夜の白む頃まで格闘した。そして岡部が正気に戻った時、二人は激しい抱擁をくり返したが、間もなく、中国軍の攻撃が始まった。そして、圧倒的な中国軍の前に、全員が散っていったのだった。援軍が到着した時、さくらは岡部の死体を抱きしめて倒れていた。

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(C)KADOKAWA1966

映画レビュー

4.0西が勝ちました、桜を好きと言ってください

2023年5月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

少女漫画原作のラブコメ映画よりあのシーンラブコメだった❤️‍🔥
軍服着るのも、キスマークつけるのも
台詞もなにもかも胸キュン過ぎたぁ

映画の中で演じるシーン
花様年華にもあったな

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22歳®︎

2.0結局のところ、いわゆるメロドラマ…

2023年2月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

宣伝用スチール写真に騙された。
あの若尾文子が、まるで『ワイルド・バンチ』の如く玉砕覚悟でガンガン(別にダジャレじゃないよ)撃ちまくるのかと思ってた。
実際、銃なんか全然ブッ放さないし…
それにしたって、ラストは、もっと強烈に叩きつけるような展開になるのかと思っていたが…

結局のところ、いわゆるメロドラマ…
ラヴシーンで流れるフォーレもどきの旋律も、すっかりシラけてまう。
ほんとセンスねえなあ…
あまりに凡庸で…
集中して観てたのに、ホントああいうのイヤになるよ。二人とも芝居は良かったのに。

冒頭の方から、凄惨な野戦病院の手術の現場とか、意外にストレートなレイプシーンなどなど、割とヘヴィに攻めてはいたが、もっと抉るようなリアリズムで徹底して欲しかった。
若尾文子のヌードシーンなんか、殆どたぶん、いや、明らかに替え玉…
こういうリアルに攻めていく映画は、ちゃんとセックスもフィジカルとメンタルの両面リアルに描いてくれないとホント萎えちゃうよ。
う〜ん、いろいろと残念!

しかし、なんだかんだで若尾文子は、やっぱりいい。
今回はナレーションもしていて、あの淑やな中にも芯の通った語り口…
あんな声で「おやすみなさい…」なんて…
ホントもう、たまらんよ。

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osmt

4.0激愛と反戦の中で

2022年4月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

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共感した! 2件)
近大

4.0 切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ...

2018年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

難しい

 切断、切断、また切断。ベテラン軍医は負傷兵を診て即判断しなければ間に合わない。「だめ」と「切断」だ。

 バケツの中には切り取った足や手が無造作に入れられ、戦争の悲惨さを物語る。視点はあくまでも医療従事者側からのもの。戦争の大儀などとは無縁で、生かすべきか殺すべきかを考えさせられる。また、敵地での兵士は女に餓えるなど、戦争時の人間のセックスについての描写が多かった。

 印象に残るのは両腕を失った折原一等兵(川津祐介)。腕がない映像をCGもない頃にここまでリアルに描けるのは凄い!妻を残して重傷を負い、内地へ送還させられても隔離され、戦争の悲惨さを国民の目から避けるようにされるといって痛烈な批判もあった。男の機能は爆発寸前なのを西さくらも承知して、彼を慰めることとなるが、満足した折原は翌日自殺。後半、軍医との恋愛が中心になるが、モルヒネ中毒によってインポとなった彼はさくらを抱けない。二人とも前線に赴くがコレラが発生し今にも中国軍が攻めてくるのであった。

 反戦映画とは言えないのかもしれないが、戦争の悲惨さおろかさが十分に伝わる、ちょっと変わった映画。『ジョニーは戦場へ行った』にも似ているような気がする。

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kossy
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